やっとの思いで高宮くんの家に着いた時には、もう日が暮れていた。
冷蔵庫の中を見ると、野菜、肉、豆腐、チーズ、魚などが、バラバラに入れてあった。ついでに、冷蔵庫の下の冷凍庫を見ると、冷凍食品で敷き詰められていた。
冷蔵庫の中を一通り片付けしてから、材料を取り出し始めた。
なるほど。八宝菜とかピザとかが無理なのかな。
作りはじめて40分。
ドタドタドタドタ。
ガチャッ。
リビングのドアが開いた。
私と、妹さんの目が合った。
え、高宮くんもしかして、妹さんに言ってなかったの?
そんなに慌てて否定して、どうしたのだろう。
パクッ。
夏樹ちゃんが食べた。
夏樹ちゃんは、その後高宮くんの分を半分も残さず食べてしまった。高宮くんと少し似た、大きな目がキラキラと輝いている所を見ると、可愛くていたたまれなかった。
夕食を食べた後、もう暗いので、高宮くんに家の近くまで送ってもらうことになった。
腕を掴まれた。
まさか、私がそんなに感謝されていたとは知らなかった。
暗くなった、7時頃の道路は、思っていたより静かで、会話を際立たせる。
ふ・・・。高宮くんが微笑んだ。
その後、少しの間沈黙が訪れた。
いつの間にか、家の前まで来ていた。
バタンッ。
ドアの戸を閉めた瞬間、家の中の温もりが入って来た。
今日は、いい日だったな。
とっくの前に閉めたドアを見つめながら、そう思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。