第13話

こんな感情、出会うまで知らなかった。
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2020/02/23 09:00
星野 美羽
星野 美羽
怖いわけありません!
私も……染谷さんといると、
ドキドキしてばかりですから
染谷 愛仁
染谷 愛仁
ありがとう。
その、美羽さん……ごめん。
抱きしめてもいいかな?
乞うように見つめてくる染谷さんに、
私はこくりと頷く。
染谷 愛仁
染谷 愛仁
本当に、好きだ
染谷さんは我慢できないといった様子で、
私を強くぎゅうっと抱きしめた。
染谷 愛仁
染谷 愛仁
そばにいられるだけでいい。
触れるともっと、幸せな気持ちになる
染谷さんは私の髪を何度も撫でた。

頬と頬をこすり合わせて、
全身で大好きだと伝えてくる。
染谷 愛仁
染谷 愛仁
こんな感情、
美羽さんに出会うまで知らなかった
星野 美羽
星野 美羽
私も……ドキドキして
落ち着かないのに、
触れ合うと安心する。
そんなふうに思うの、
染谷さんにだけです
私は同じ気持ちだと伝えるように、
染谷さんの首に腕を回した。
染谷 愛仁
染谷 愛仁
嬉しい。早く、
俺を選んで、美羽さん──
染谷さんは切なげにそう囁いて、
耳たぶにキスをしてくる。

私たちはそのまま、
夜ご飯を食べるのも忘れて、
身を寄せ合っていた。

***

次の日。

──ピーンポーン。

インターフォンの音が聞こえて、
私は染谷さんのベッドで目を覚ます。

隣には、すやすやと規則正しい寝息を
立てている染谷さん。
星野 美羽
星野 美羽
ふふっ
(寝てる染谷さんって、なんか子供みたい)

あどけなくて、
聞いていた年齢よりもうんと若く見えた。

染谷さんを起こさないようにベッドを出ると、
私はインターフォンの画面を確認する。
星野 美羽
星野 美羽
えっ、白金さん!?
そこにいたのは白金さんだった。

(知ってる人だし、出てもいいかな?)

私は通話ボタンを押す。
星野 美羽
星野 美羽
白金さん、星野です。
今、染谷さんは眠ってて……
白金 明矢
白金 明矢
星野?
その声……美羽か?
星野 美羽
星野 美羽
あ……はい!
白金 明矢
白金 明矢
なら、出てこい。
お前ならいい暇つぶしになりそうだ
(暇つぶし?)

不穏な単語が聞こえたような気がしたけれど、
染谷さんの取引相手なら無視できない。
星野 美羽
星野 美羽
わかりました
私はマンションの玄関の
オートロックを解除した。

急いで私服に着替えると、
再びインターフォンが鳴る。
星野 美羽
星野 美羽
お、おはようございます
玄関のドアを開ければ、
いきなり白金さんに手首を掴まれた。
白金 明矢
白金 明矢
俺と来い、美羽
星野 美羽
星野 美羽
え──きゃあっ
白金さんは有無を言わさず
靴も履いていない私を肩に担ぐと、
どこかへ歩き出した。

***

──太陽が高い位置に昇った頃……。

(どうして、こんなことに……)

白金さんに攫われてやってきたのは、
白金財閥主催のパーティー。

私は白金さん好みのネイビーのドレスに
着替えさせられたあと、
同伴者としてそばにいるよう命じられた。
星野 美羽
星野 美羽
白金さん、
どうして私だったんでしょうか?
庶民は嫌だったんじゃ……
白金 明矢
白金 明矢
本来であれば、
白金の名に相応しい
令嬢を連れ歩くべきだ
星野 美羽
星野 美羽
なら、なんで……
白金 明矢
白金 明矢
興味だ
白金さんは即答した。
白金 明矢
白金 明矢
女は自分の権力に群がる虫だと
思っていた愛仁が、
たったひとりの女に固執している。
それがどんな女なのか、
純粋に知りたくなった

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