第2話

魔女の商売
53
2020/05/23 17:52
え?
普段は何もない河川敷に一つのお店ができていた。
魔女
お?お坊ちゃん、運がいいねぇ。
オープン一人目のお客様だよ。
白髪で妖艶、まさに魔女みたいな人が怪しすぎるお店の中にはいた。
『操り人消しゴム』
『爆発チョコレート』
『鬧鐘肯定會喚醒您』
なにこれ?
中国っぽい漢字で何か書いてある。
魔女
それはねぇ、必ず起こしてくれる時計だよ
…本当ですか?
魔女
全ての商品、効果は、保証するよぉ
じゃあ…答えが勝手に書かれる鉛筆…みたいなのも、あります?
冗談のつもりだった。
魔女
あるよ


ーーーーーーーーーー魔女の商売ーーーーーーーー

マジでやばい。
本当に…
明日、算数のテストがあるのだが、その範囲の勉強が理解できない。
わかるものもあるのだが、テストとなると頭が真っ白になり、結局意味不明な回答になる。
あー、マジで今回ヤバかったら小遣いが減るかもしれん…
そんな悩みを抱えていた、その時だった。



『魔女の御店』
ん?
直感的に思った。


『詐欺だ。』
こういうお店にぼったくられるわ…
言いながらも、僕は興味心を止められなかった。


スタスタスタ…
魔女
おや?
魔女
何をお探しで?坊ちゃん。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔女
解答を書く鉛筆、『カイペン』だよ
至って普通の鉛筆に見える。
詐欺ってませんか?
単刀直入に言う。
魔女
詐欺?あはは!詐欺かい?!そんなものはありゃせんよ
本当ですか?
魔女
じゃあ、試しに使ってみるかえ?
魔女みたいなおばさんはその鉛筆を持った。
魔女
坊ちゃん、今日の宿題は?
え?あー、算数のプリントですけど。
僕がプリントを出すと魔女は鉛筆に何かを言った。
魔女
ネルネルネールネルネネー
スラスラスラスラ…
僕は驚いた。

勝手に鉛筆が動いているから。
え?
マジで?
僕はそのプリントの答えを確かめてみた。
合ってる…
魔女
ふん、言った通りだろ?インチキや詐欺だなんて!
…じゃあ、これは?
僕は漢字ドリルを出した。
魔女
楽勝さね!
またまた空欄が埋まってゆく。
すごい…
本物…かもしれない。
どうする?
買ってみるか?
明日のテストが百点だったら小遣い、アップするかもしれないな
何円ですか?
魔女
んー…本当はこんな代物、数十万で売りたいところだけどね、
魔女
オープン一人目のお客さんだ!
千円ポッキリ!
えー…
千円だと言ったら二ヶ月分の小遣いだ。
魔女
どうだい。買うかい?
ま、買わないという選択肢はないやろ
手元には1500円ある。
…うー
買います。
魔女
お買い上げありがとうございますぅー
僕は魔女にお金を渡した。
『カイペン』を渡される。
試しに…
僕はランドセルから理科ドリルを出して適当なページを開いた。
よし!
ドリルに鉛筆をつけても何も起こらない。
あれ?
魔女
あー、それ単品じゃ、どうにもならんよ!
呪文があるさかいね!
その呪文講座料¥150,000、いるよ!
は?
そんなの、セコい!
やっぱり詐欺だ!
どーせ、僕のプリントもおばさんが早く解いていただけだろ!
魔女
はー、これだから最近の者は…。
それ単品で作動するようなものなのなら、私は千円でうるわけないだろ?
常識的に考えんな。
それに、坊ちゃんたちもネットで買い物する時、あるだろ?
そして、お金を払ったのに品物が届かなかったときだってあるだろ?
それに比べちゃ、こんなのだって、まだ良心的さ。



現実を甘く見んなよ、坊ちゃん。
そう言って魔女みたいなおばさんとお店は、千円札を取り込んだまま、
ボン!
と、消えた。

プリ小説オーディオドラマ