空を見る。
灰色の雲が空を覆っている。
周りを見る。
数人のグループで騒いでいる。
本を読む。
二週間ほど前から同じのを読む。
『バリーボッター 不死の秘宝』。
ーーーーーーーーー僕は人見知り。ーーーーーーーー
無言で自転車を漕ぐ。
会話は10分前から終わっている。
小学校からの友達が喋ってくれているが、僕は特に何も言わない。
忘れていた。
うざ。
さっきから何回『あっちい〜』て言うんだ。
と心の中でツッコもうとすると校門の前についていた。
友達は二組へ、僕は三組に行く。
いつも通り荷物を片付けて席に座る。
いつも通り『バリーボッター』シリーズを読む。
静かに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は斜め右の席をチラッとみる。
彼女は、ノートをテキパキと書いている。
可愛い。
ため息を吐く。
恐らくこれが恋と言うんだろうが…。
はぁ…。
!!!!!
目が合った。
え?え?
目が、合った。会った?!
僕は彼女を見、彼女は僕を…!?
むせてしまった。
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昼休み。
クラスの他の人たちはグループを作って食べる。
もちろん僕は一人だ。
なぜ目が合い、むせたのか?
目が合うのは至って普通だ。
人間が目線をどこかにやっているのだから。
偶然と合うのが自然である。
彼女は図書委員長であり、このクラスの委員長でもある。
陽キャで美人、友達も多い。
平たくいえば高嶺の花なのである。
何がやばいのだろうか。
僕は何度目かのため息を吐く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝、うるさくアラームをリピートしてくる時計の後ろのスイッチをオフにし、顔を洗い、うがいする。
昨日の夜、彼女が僕を好きになる可能性を妄想していたのだが、結果は皆無。
それでも…!
という気持ちも少しはあった。
あーあ、靴箱見たら、手紙が入ってることなんて無いかなー、無いよなー。そんなもんだろ。
自転車を漕ぐ。
今日も最高気温三十五度超えだからな。
しかし、最近地球は温暖…化、か、わいいな、彼女。僕と付き合っては
やばい。自分自身で自分自身をキモいと感じる。
結局、校門の前についた。
昨日のせいかあくびがでた。
目を擦りながら靴を脱ぎ、上履きを…
パサッ
て、てが、
手紙…て、がみ、てが、み。
愛の手紙、手神!愛のLOVE Letter!
しかし、誰から…
!!
か、m@麟53×1^:=・2[〒ご…
か、彼女の名…!
急いで、中を開ける!
これは…神様!まさか!
一枚の紙。
【3年三組 島崎 健太
『バリーボッター 不死の秘宝』ほか5冊。
貸し出し期限を超えています。
今すぐ、返却するか、続借手続をおこなって
ください。
図書委員会】
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。