博士は叫んだ。
ーーーーーーーーーー未来ーーーーーーーーーーー
博士は全てを犠牲にしてタイムマシン開発に力を入れていた。
部屋のテレビは付けっぱなし。
コーヒーは冷めっぱなし。
時計は壊れっぱなし。
博士の作ったタイムマシンはドア型で
ドアノブで行く時間を調節する。
また、現在地の位置に固定するので、地球が回転して宇宙空間に放り出されるといった心配はなかった。
しかし一回に使うエネルギーは莫大なので充電に一日ほどかかる。
まだまだ、改良する点はあったが博士の頭にはそんなことは入ってなかった。
博士は興奮と狂喜の気持ちでドアノブをひねりドアを開けた。
ドアの目の前は…地獄だった。
赤くドロドロな溶岩が地面を埋め尽くし、そらは真っ赤に染まっていた。
博士は急いでドアを閉め、荒く息遣いをした。
恐らく隕石だろうと博士は考えた。
火山は付近には無く、一番近くが噴火したとしてもここまでに来ないからだ。
何億年後か分かればその時は人類、否、地球滅亡の日である。
ドアノブの目盛りを読み、博士は戦慄した。
付けっぱなしのテレビのニュースキャスターが何かをさけんでいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!