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第5話

実験
13
2022/03/19 15:20
博士はある動物の思念を別の動物に入れるという研究をしていた。
博士
これができれば!世界は変わる!!
ある日、実験は一気に進展した。
アリの思念をネズミに移す実験をしていたのだが、
ネズミがケースに入れた砂糖に反応するという明らかにアリの特徴を捉えている行動をしたのである。
博士
うおおお!凄い!凄いぞ!
これを機に、実験は哺乳類の思念を移す実験まで進んだ。
その革新的な技術を発展させるため、ついに人間に対する実験が行われることとなった。
秘密裏に行われることとなった実験には無期懲役の囚人が参加することとなった。
博士
ついに、私の長年の研究が実を結ぶ日が来た!
博士は囚人に入れる思念の対象として、記念に自分の飼っている犬の思念を入れることに決めた。
博士
ポチ!お前の名を歴史に刻んであげるからな!!
そして、実験の時。
思念を入れられた囚人は倒れ込んだ。
実験は失敗――。そう思われた時
囚人
ワンッ
博士
……!ポチ、ポチなのか!?
囚人
ウゥゥ〜ワンッ!!
異様な感動のシーンだった。囚人の姿をした飼い犬が飼い主の博士の元に駆け寄る……。


そして囚人が博士の首に手をかけた。
博士
ゥグッ……な、貴様……実験は失敗だったのか……!
囚人
ゥ〜、うー、あ、これがヒトのカダラか……?ジッケンはセイコウした。自分はポチだ。
博士
な、なら、何故ッ……私はポチを大事に愛をこめて……育てたはずだ……離してくれっ
囚人
愛をこめて?ハッ。失敗するかもしれない実験には無理やり参加させたがな?実験に没頭して餌をあげない日が何日あった?クスリの実験台にした日もあったよな?
囚人
一つだけ感謝をお前にするならこの体を手に入れられたことだ。ありがとう、サヨナラ
博士は息絶えた。

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