第25話

妙な噂と誤解-夜久衛輔-
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2021/01/21 09:35
「もういい、夜久のことなんて知らない」

『こっちからお断りだね』






…喧嘩しました。





原因はお互いに忙しかったってだけ。

それで揉めた。


元々お互い合わない性格だったんだ。

自然消滅するんだろうな…。



ーーーーーー
次の日

「…」

『…』

クラスも一緒なのに全く話さなくて、いや話せなくて、、、



いつもは一緒に帰るのに、今日は別々。



一人の時間が増えた。

そんな生活が続いてもう1週間。



同じクラスのあまり好きではない子からこんな”妙な噂”を聞いた。



ーーーーーー

クラスメイト「あなたぁ〜?知ってる?」

「は?なにが?」

クラスメイト「やっくんって他に女いるんだって〜」

「…ん?それがどうしたの?」

クラスメイト「え?驚かないの〜?」

「いやだって、証拠見せられた訳じゃないし…」

クラスメイト「じゃあこれみたら信じる?」

「…なに、これ」



その写真をよく見てみると…




衛輔がほかの女子とキスしていた。

「う、嘘でしょ…」

クラスメイト「しかもさ、今、喧嘩してるらしいね??」

私が動揺した隙に態度を一気に変えたその子は私の弱みに漬け込んできた。


クラスメイト「やっくんはきっとこの子のことが好きなんだね!」

「…そう」

素っ気ない返事をして走り去ったけど、

本当はそれどころじゃない。

だからといって衛輔の所へも行く気にはならない…。


「…どうしよう、、、」

百歩譲って女子の方からでの不可抗力ならまだしも、自分からいったとか言ったらほんとに殺したくなる。


喧嘩はしてても私は衛輔のこと嫌いだなんて一言も言ってない…

「…ほんとどうしよ」

?「お嬢ちゃん?どうしたのこんなとこで〜」

「っ!だ…誰っ」

いきなり話しかけられてすごい反応してたけど正体は黒尾鉄朗。


そういえば衛輔と同じ部活か…。

「なんだクロか…」

黒尾「なんだとはなんだ、困ってるお嬢ちゃんを助けようとしたのに」

「ねぇ、、衛輔からなんか聞いてない?」

黒尾「あ、喧嘩したんだろ?夜久さん言ってたよ」

「それだけならいいんだけど…」

私はあの写真をクロにみせた。

黒尾「なんだこれ…」

「浮気してたって…」

黒尾「そんなこと、夜久からすると思うか?」

「いやそれは…」

黒尾「あの子のこと信じてんなら、さっさと仲直りして誤解解いてきなさいよ!」

「ほら行った行った!」と元気よく背中を押され、渋々行くことに…。

ーーーーーー

いつ出てくるかわかんないから絶対通る門の前で衛輔を待った。

しばらくすると声が聞こえた。

部活を終えてクロたちと一緒に喋ってる衛輔の声。


クロもいるし、大丈夫。



そう自分に言い聞かせて衛輔の前へ走った。

『…っ?』

目を丸くしていたけどお構い無しに話そうとした。

黒尾「あ、あぁー、夜久?俺ら先帰ってるから話つけて来なさいよ?」


『あ、はい』

リエーフ「夜久さんお先でーす!」

黒尾「お前はもっと空気を読め!((バシッ」

リエーフ「ごめんなさい〜」


ーーーーーー

『あ、どうした?』

「…あの、、、」






「他にいるの?」

『え?他に?』

「浮気してるの?って聞いてるの、正直に答えてよ、もう隠す必要は無いから」

『…ごめん』

やっぱり浮気してたんだ。

私なんかもう好きじゃないんだ。

捨てられたんだ。
こんなにも大好きだった人に。


『断れなくて』

「…?」

『部活終わりに部室でたら名前呼ばれて、振り向いたら知らない子に突然キスされて…』


「……」

言葉が出てこなかった。

というかなんて言っていいかわからなくなった。

『俺疲れてたし、鍵当番だったから急いでて撮られたとか知らなくって、あなたに言わなきゃいけなかったんだけどどうせ別れよって言われるかなって不安になって…』


「…なにしてんの」

『え?』

「衛輔あんた周りから意外とモテてるの知らないの?」

『知らないし、俺にはあなたしか居ないなんて勝手に思ってたし』

「ほら、そーゆーとこ。」

『え?』

「サラッとイケメン出してくんのやめてもらっていいですか?」

『あ、ごめんなさい。』



「…好きだよ、大好き」

『珍しいじゃんどうしたの』

「こうやって言わないと他の子に取られちゃうかもじゃん!」

『そんなわけないでしょ。』










そう言って私のことを強く強く抱きしめてくれる衛輔。


そーゆーとこがほんとに好き。



((チュッ))

『これでいい?』

「…カァッ////」

『照れた?』

「勘弁して死ぬ」

『それは嫌だな…』




『でもやる!』

「あぁもう一生ついてきます😭」
妙な噂も誤解も無事解けました。


この後リエーフに質問攻めされたのはまた別のお話…。

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