第29話

バレンタイン-月島蛍-
1,223
2021/02/14 14:46
「月島くん、これ貰ってくださいっ!」

『あ、ありがと』






「月島…くん、好きです。」

『…気持ちは嬉しいよ、でもごめんね。』












『僕、好きな人がいるんだ』











ーーーーー


今日はバレンタイン。


今年こそは、あいつに本命を渡してやるんだ。


毎年毎年義理チョコで済ませはや10年。


幼馴染なんだから、もっとちゃんとしてよって



あいつに何度言われたことかっ!



一緒に帰ろって誘うつもりだったから、蛍の所へ行くと、





「あいつ、また捕まってるし」

いつもそうだ。


かっこよくて身長高い。

バレーもできて、頭もいい。

肌が白くて大人っぽい。

どこか色気がある彼奴に惚れる女はこの世に何人いるのやら。








見ちゃった。

告白されてるとこ。




でも蛍は、


『僕、好きな人がいるんだ。』


って。



好きな人…いたんだ。



誰なんだろう。



私…んなわけないか



幼馴染だもんね。


ーーーーー


少し思い詰めながらも蛍の方を見てると目が合った。



蛍はニコッと笑ってこっちにあるいてきてくれた。


なんだか、もう彼氏に見えちゃわない?




ーーーーー

『はぁ、つかれた』

「お疲れ、また?」

『飽きた、』

「今年は何個?」

『じゅう…よん個』


年々当たり前のように増えていくチョコの数。


ほとんどが本命。



何それどゆこと?


『もうめんどーい』

「そっか」

蛍がめんどいと思うなら、もう私のはいらないよね。



左手にぎゅっと握りしめた私の手作りチョコは、蛍の隣にいるだけで溶けてしまいそう。





『…ないの』

「え?」

『いや、毎年あなたくれてたからさ』

「…いらないんじゃないの?」


意地悪も込めてそう返してみた



『もういい、僕の家来てよ』

「なに急に」

『幼馴染なんだから、家上がるくらい普通デショ』

「わかったってーーー!」



ーーーーー

『適当に座ってて』


もう来慣れてるのに毎回欠かさずお茶を出してくれるあたり、ほんとに気が利くいい子。



いつ渡そうか、どう言って渡そうかいっその事その時に告白しちゃうか…




「ああああああ、どうしよう…」



















『…なにが?』



そこにはお茶をついで戻ってきた蛍がいた。



え!聞かれてた?!

「え、いやその、なんでもないから」

『嘘下手、笑』



そうやって笑うあなたの顔のおかげで私は死にかけてるんですわかってます?



『僕がなんでここ連れてきたか分かる?』

「ホラー映画でも見たかったの?」

『…バカに聞いた僕が間違ってた』

「えぇ」

『チョコ、あなたも食べる?』

「え、蛍が貰ったんでしょ、自分で食べなよ」

『僕こんなに食べれないし、それに』
















『あなたが作ったチョコが食べれなくなるの嫌だし』












「あ、こ、これのこと?」

サラッと渡してしまった。


『そう!毎年の楽しみ〜』

「け、蛍!」

『なに、何か問題でもあr…っ!』

((ギュッ))

「…好き!大好き!ずっと前から…。蛍が告白されてるの見て心臓がキュってなった!」


つい爆発した私の言葉を丁寧に受け取って、


優しく抱き締め返してくれた。


『僕から言いたかったけど、これはこれで』


『あなた、こっち見て』

((チュッ))

『顔真っ赤だよ?大丈夫?病院行く?』

「蛍がいればそれでいいや」

『なにそれ笑、おかしな子』

「蛍の方こそ」














『これ、美味しい』













私たちの記念日は、



バレンタイン。


2月14日。

大切な日。
ーーーーー

ちょっと展開が急になってしまいました🤦‍♀️

バレンタイン、今年はガッツリテスト週間で好きな人に作ってすらいません〜!


月島蛍様がチョコもらってくれる世界線どこ?

プリ小説オーディオドラマ