第19話

風邪の力-月島蛍-
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2021/01/02 05:33
『はぁ…最悪だ。』


朝起きて、なんかだるいなって思ったらまさかの熱。


38.5℃だった。
あぁだるい。最悪だ。
ほんと最悪。

学校行けないんでしょ。ってことはさ、

会えないじゃん。

こんなことってある?()
起きててもだるいだけだし、ちょっと寝ようと思って目を閉じた瞬間…



ピコンッ

『なに、こんな真昼間に』

誰かからLINEが来た。


((💬))蛍、大丈夫なの?

『お前かよ。』

思わず言ってしまった。
別に嫌だったわけじゃない。

むしろ期待してた。

メッセージを送ってきた貴方は、



僕の好きな人だから。

((💬))大丈夫じゃないから学校休んでるんでしょ。何考えてるのほんとに。


知ってる。人に冷たく接したら嫌われる、なんてこと自分がいちばんよくわかってる。

だけどどうも貴方と関わると、いつもより冷たくなってしまう。

((💬))風邪引いても冷たいな〜蛍は!

((💬))いいでしょ別に。

((💬))で?今日親は?

((💬))帰りが遅くなるって言ってたけど…

((💬))よし!じゃ、放課後蛍ん家凸るから!

((💬))風邪うつるよ?

((💬))私は大丈夫✌️

((💬))あっそ、好きにすれば

((💬))お許しいただきましたー!

((💬))うるさくするのだけはやめてよ

((💬))わかってるって!看病だよ!看病!

((💬))そう、じゃ、また後でね

((💬))うん!お大事にね!

ほんとに君は、良くないよね。

色んな男に愛想振りまいて、楽しいのかな。

僕のことなんか微塵も思ってないでしょ。

大体の子はみんなして影山とかいうあの王様のとこに行くんだ。

僕もバカじゃないんだからそれくらいわかるよ。

あなたもさ、僕がどれだけ思ってるかなんて気づいてないでしょ。

誰にでも愛想振りまく人なんだからさ、

そんなことわかってる。

けど…


『好きになっちゃったじゃん。』




いつ来るかな、いつ来るかな。

少しソワソワして待ってたけど、授業が終わるまであと2時間以上もある。


寝よ。そうだ、そもそも寝ようと思ってたんだった。

あなたのせいで忘れてたじゃん。


なんて考えてたけど、途中から記憶なかった。


ーーーーーー

あなたside

蛍の家に行けるんだ!

ダメ元でLINEしたらまさかのOKで、ちょっと授業に集中できないかな。


あとちょっと…今日は部活もないし。

でも一日の半分以上蛍と話せないのはツラい…


いつもあんな冷たくてさ、何考えてるかわかんないけど…



「好きになっちゃったじゃん。」

ーーーーーー

キーンコーンカーンコーン

「っじゃ!」

いち早く教室を出て、蛍の家にダッシュ!



ピーンポーン

「…あ、そっか」

誰もいないから勝手に入って来いって言われてたんだった。

不用心だよね。

蛍らしくないな〜


「お、お邪魔します〜」

蛍の部屋ってどこだ?

何気、初めて。

2階にいって、突き当たりって前言ってたような…?

と、記憶だけをたどって部屋のドアを開けると…


「いた。」

『Zzzz…』

めっちゃ可愛い顔でぐっすり寝てる蛍がいた。
「(可愛いぃぃっ!!)」

こんなこと死んでも言えないかも。

キュン死とカッコよし死同時にしそう…(?)

メガネもしてなくっていつもの蛍じゃないみたい。


つい写真撮りたくなったけど、さすがに殺されるからやめといた。

早く起きてくんないかな〜なんて思って、ほっぺたつんつんしてたら…


『っ、なに。』

「あ、起きた。」

『何、人の顔で遊んでんの』

「だって蛍起きなかったし」

『今起きた、』

「おはようー!!!」

『うるさいし』

「来てやったんだよ、感謝しなきゃ!」

『君が来たかっただけでしょ、僕は誘ってない』

「風邪ひいてもいつも通りかよ。」

『はぁ?』

「あ!なんか作ってあげよっか?」

『あ、うん、なんでもどうぞ』

「じゃ、ちょっとまってて!」

『…』

「…ん?」

『やっぱ嫌だ』

「え?それどういう…」

『ここにいて』

「(やばいし、可愛いし、なにこれ)」

『寂しいから…』

「…いいよ〜しょうがないなぁ〜!」

『はぁ…』

「熱、何度?」

『朝は38.5℃』

「それから測った?」

『いや、測ってない。』

「測りな!はい!」

『…あ、そうだね…』

ピピピピッ

「貸して!」

『うん…』

「37.8℃…かぁ〜」

「下がったじゃん!」

『あなたのおかげ…((小声』

「へ?」

『…好きだからさ。』

「なに、熱のせいでおかしくなっ…((チュッ」

『好き。大好き。愛してる。』

「…わ、私も。」

『好きって言ってよ』

「す、好き…」

『ギューッ))あぁ〜好き。キスのせいで風邪うつったら次僕が看病の番ね?』

「風邪ひかないもん」

『あ、そっか、バカは風邪ひかないか』

「違うもん!」

『フフッ、僕の彼女は可愛いなぁ』

「そんなこと言うなんて珍しいじゃん」

『僕をなんだと思ってるの?』

「ん?かっこよくってバレーバカな私の彼氏」

『うん、ウザイ。』

「え、いつも通り。」

『今日泊まってく?』

「は?何言って…」

『僕あなたいないと寂しくて死ぬ』

「私は君のせいでかっこよし死する。」

『なにそれ、馬鹿じゃないの』

「蛍には言われたくない」

『うーん、好きだよ〜』

ーーーーーー

「蛍!おはよ!風邪治った?!」

『は?治ったけど、お前なんでここにいんの?』

「は?泊まってけって言ったの蛍だし」

『僕そんなこと言ってない』

「昨日ずーっと好き好き〜大好きーって言ってたくせに」

『記憶にございません』

「はぁ?可愛いと思ったのに」

『うん、ウザイ』

「そこはいつも通りなんかい」

『なに、僕のこと好きなの?』

「好きに決まってんじゃん」

『付き合う?』

「蛍がいいなら」

『ギューッ』

「な、なに急に」

『顔みて言えないから、こうすればお互いに見えないでしょ』

「蛍にしてはやるな〜」

『付き合ってください。』

「…はいっ!」



これも全部、風邪の力。

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