12月中旬。
平均気温が一桁になってきて、今は白い息が余計に目立つ真っ暗な夜。
まだ部活中のスガを体育館の外で音だけ聴きながら待ってた。
手がかじかんで上手く動かせないけど、もうすぐでスガの温もりを感じられる!
そう思うだけでなんだかんだホッとする。
澤村「あ、あなた!」
と、ちょうど外の雑巾を取りに来た主将の澤村大地に呼ばれてハッと我に返る。
「あ、澤村〜!どうも〜」
澤村「あ、スガ待ってんのか、」
「そうそう!」
澤村「まだしばらく終わらなさそうだし、あれだったら中で見ててもいいべ?」
「あ、じゃあお言葉に甘えて!」
と、体育館の中に入ると、そこでは試合形式の練習をしてた。
元々バレー経験者で今は続けてないけどルールはわかる。
「凄い…」
烏野高校排球部はここら辺じゃ白鳥沢に勝るほどの実力を持ち合わせててかなり強い、なんて噂をよくスガから聞いてた。
でも、こんなに間近で練習を見ることはなかったからなんだか凄く新鮮。
『あ、あなただぁ!』
と、満面の笑みで手を振ってくれるスガはいつ見ても癒される。
烏養コーチ「菅原!練習に集中しろ!」
『あ!すみませーん💦』
月島「彼女とイチャイチャしてるスガさんめっちゃみたいんですけど…」
バレー部ってこんな感じなんだ!
って、素直に思っちゃった…。
あの1年のコンビがエグい…!
誰なんだろう…?
あとでスガに聞いてみよ!
バレーやってるスガもかっこいいなぁ…って釘付けになってた。
気づいたら練習終わってた…笑
((ありがとうございました!))
『ごめん、結構待たせちゃったね』
「ううん、全然。」
旭「ま、俺らもいるけど」
『おぉい!なんでいんだよ!』
「いいじゃん、仲間でしょー?」
澤村「お!いいこと言う!」
日向&影山「スガさぁーーーん!!!」
『へ!?なんだべ?』
日向「彼女いたんですかぁー!」
影山「聞いてないっすよ!」
『ま、まぁ言ってなかったからね』
田中「こんな可愛い子がスガさんの彼女…」
西谷「さすが先輩っす!かっけぇっす!」
「スガ、愛されとんのね」
『ここまでとは…笑』
月島「ちょっと変人コンビ、荷物とか置いていかないでくれる?」
日向&影山「ア゙ア゙忘れてた!!」
『いつも通りだべ!』
澤村「っしゃ!帰るか!」
((はぁぁーい!!))
「あ、そうそうスガ、一個気になったんだけど」
『お?なになにー?』
「さっき月島くんが言ってたみたいな変人コンビ?」
月島「あ、あのおバカさんたちのことですか」
『あはっ!日向と影山の事ね!』
「ひなた、かげやま…?」
日向「コンクリート出身!日向翔陽です!」
影山「同じくコンクリート出身、影山飛雄です!」
日向&影山「おねしゃーす!」
「あら、仲が良いこと」
『変人速攻のことだべ?あれは俺も理解できない〜!』
「君たち、すごいんだね!日向くんは小さな巨人みたいだし、影山くんは…なんかすごい!」
澤村「あなた、語彙力笑」
西谷「俺らが強いのは変人速攻と、この守護神のおかげだぞ!」
田中「ノヤっさん!それ自分で言うんすか?」
月島「田中さんはいないことになってますね」
田中「月島コラァ!生意気こいてんじゃねぇぞ、コラ」
『まあまあ』
ーーーーーー
「うぅ…寒い…」
澤村「そうだよな、あなたずっと動いてないし、しばらく外で待ってたもんな」
『…はい。』
凍えていたところにスガの温もりを感じた。
「…?」
私を覆っていたのはスガが持っていたふわっふわのちいさな毛布。
同じ毛布の中にスガもいた。
日向&影山「ハァッ))👀✨」
『こうすれば暖かいべ?』
「…うん!暖かい!」
澤村「平常運転だな」
旭「微笑ましいよなぁ」
影山「いいなぁ…✨」
日向「いいなぁ…✨」
「え、あ、行こうよ!みんな止まんないで💦」
『ほら!寒いんだから早く帰るよ!』
((はぁーい!))
西谷「幸せそうですなぁ…」
田中「まさか潔子さんもこんな感じで…」
西谷&田中「😱」
『おぉい!自分で妄想して勝手に凹むなって!!』
「これこそ微笑ましいね!」
月島「また、部活見に来ます?((コソッ」
「うん!もちろん!またあの速攻見たいし!」
月島「僕のブロックも見といてください、あの変人ども止めてみせますから((コソッ」
「わかったって!期待してる!((コソッ」
『何話してるべ?月島!あなたはわたさないぞ!』
月島「そんなつもりないですから」
山口「ツッキーはそんな酷いことしないもんね!」
月島「うるさい山口」
『あ、あなた今日俺の家来るっけ?』
「そうだそうだ!今日は帰っても家に人いないし!」
『了解!』
「楽しみだなぁ!早く帰ろうよ!みんな!」
烏野高校排球部「ほんと、いつまでたっても初々しいカップル。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!