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第1話

全て忘れろ
225
2019/09/27 06:46
あなた「........。」

幼い少女、あなたは一人雨の中で静かに
泣いていた。彼女は両親から酷い暴力を受けて
いた。殴られ、蹴られ、熱湯までかけられ、
心身共にボロボロになっている。そんな中、
雨が降る街をただひたすら歩いていた。
すると、低い男の声が聞こえた。

「醜いな」

あなた「.......?」

あなたはふと、泣くのをやめ、後ろを
振り向くと、紅い衣服を纏った銀の長髪
の男が紅い瞳で見つめていた。

「失礼、我の名はマリエイヌ・グランカート、
マリオと良く言われる。」

あなた「マリ....オ?」

マリオ「.....む、知らぬか?この世界で
我を知らぬ者はいないと思うたが....。」

マリオ「我は断罪の破壊神、つまり罪人を
裁くのだよ......と、言っても分からぬか」

あなた「だんざいって何?」

マリオ「断罪とは、悪い人を懲らしめる
事だな、これなら分かり易いだろう」

すると、あなたはマリオに勢いよく
掴みかかり、必死に言う。

あなた「おねがい、わたしをだんざいして!」

マリオ「....何だと?」

あなた「パパとママに何で乱暴するのって
聞いたらね?お前が悪いって言ってたの、
わたし、悪い子だからいけないんだよね?
だからおねがい、わたしをだんざいして‼️」

あなたは涙を流しながらマリオの足に抱きつき、
顔を擦り、そう願った。マリオはあなたの身体
の傷を見直して考えた。

マリオ「(この少女、まさか......。)」

マリオはあなたがどれだけ傷付いたかが、
なんとなくわかったのだ。そして、マリオは
あなたの涙を指で拭い、優しく声をかける。

マリオ「我の元へ来るか?」

あなた「え!?」

マリオ「お前は悪い子ではない、酷い親を
持っているのにお前は親を一切憎まずに
大切にしているとても良い子だ。そんな良い子
が悲しい思いをしているのは許せぬ、だから
我が養ってやろうぞ。」

あなた「......いいの?」

マリオ「勿論だ」

あなた「.......ありがとう!」

あなたは更に泣き出し、マリオの抱き方を
強くする。マリオはあなたを抱き上げ、
自分の城に連れ帰った。

ーーーーーーーーーーーー

マリオ「さあ、食えるだけ食え。」

あなた「す、すごい!」

あなたの目の前には、ステーキやムニエルなどの
豪華な食事が並べられていた。あなたは綺麗な
料理を見たことないため、かなり興奮していた。

あなた「これ、どうやって使うの?」

あなたはフォークの使い方がわからず、
マリオに問う。

マリオ「食べ物に刺すんだ、そうすれば、
手を汚さずに食べる事ができるぞ。」

あなた「あ、ホントだ!」

パク

あなた「.......美味しい‼️」

マリオ「ははは❗️そうかそうか、美味いか❗️」

ーーーーーーーーーーーー

マリオ「リン、こいつを風呂に.......」

リン「畏まりました。」

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あなた「これがおふろって言うの?」

リン「そうですよ、身体を綺麗にしましょうね。」

リンはあなたをシャワーで汚れを落としてあげた。しかし、数々の傷が目立っている。

リン「(この子、一体どんな可哀想な目に
あってきたのかしら、こんなに火傷をして。)」

身体を洗い終え、あなたは初めて湯船に浸かる。
とても気持ち良さそうにしている。

あなた「気持ち良いなぁ」

リン「ごゆっくり」

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マリオ「さぁ、寝ようか」

あなた「一緒に寝てくれるの?」

マリオ「一人では怖かろう?」

あなた「ありがとう!」

二人はベッドに潜り込む。

あなた「おやすみ、マリオ」

マリオ「おやすみ」

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あれから10年後、あなたはすっかり
15歳になった。とても元気で学校に通っている。
友達も沢山でき、成績もトップ、運動神経も
抜群になっていた。立派なギルドのレギュラーに
なって、凄腕の冒険者にもなった。

あなた「マリオ、ただいま!」

マリオ「おお、あなた、帰って来たか!」

卓郎「この子、とても真面目でしたよ!」

マリオ「それはそれは、良きだ!」

あなた「マリオ、あのね?」

マリオ「ん?」

リン「マリオ様お客様です。」

マリオ「うむ」

あなた「......あ」

ーーーーーーーーーーーーーー

「マリオ様の所に捨てられた少女がいると、
聞きまして......。」

マリオ「......お前達はまさか......!?」


続く

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