第2話

夢と現実
44
2019/05/12 08:23
夢から覚めた私は、なぜか枕が濡れていたことに気付く。

まあ、その理由はすぐに判明したけれど。
昨日、私は夢を見たんだ。昔の、懐かしい記憶。私が大好きだったあの人が、私の目の前で死んじゃう記憶。いつまでたっても忘れない、忘れたくない、忘れられない記憶。悲しい記憶だ。

それから一年半ぐらい、私には生気がなかったと思う。まるで生きていない、死んだ人間のように自分自身で自分の人生を殺していた。
宇佐美円香
宇佐美円香
あれから十年か......
私は、あの時のまつりの声を鮮明に覚えている。
宇佐美円香
宇佐美円香
不思議ねえ......
そう言う私は、表情と裏腹に頬には冷たいものが流れた。

ああ。私は今悲しいんだ。
あの、自分で殺した一年半はそんなことも知らなかった。

まつり......。会いたいなあ......











































『泣いてんの?』
宇佐美円香
宇佐美円香
え......
突然聞こえた声。
不思議なことに、まつりとよく似ている。

私は最初は混乱したが、すぐに正気に戻った。

なるほど。私は、会いたい気持ちが強すぎて幻聴が聞こえたんだ。



『円香?』
ちがう。これは、まつりの声じゃないの。幻聴なんてただただ辛いだけだから。お願いだから。消えて。
『円香ってば。自分の名前忘れたのか?』
宇佐美円香
宇佐美円香
忘れてない!
つい、反射的に返事をしてしまった私は、勢いのまま体をベッドに起こすと、目に疑うものが映った。
宇佐美円香
宇佐美円香
は......え?
神崎まつり
神崎まつり
久しぶりだな。円香
宇佐美円香
宇佐美円香
い......いやいやいや!これ夢だし!なに私ったら夢で驚いてんの全く。夢と現実がわからなくなるところだったよ。あーあ。本当、私相当ショックだったんだねえ
神崎まつり
神崎まつり
声に出てるけど
宇佐美円香
宇佐美円香
はッ!
私は夢に出てきたまつりの言葉で、声を出してることに気がついた。


私が今こんなにも混乱しているのは、死んだはずのまつりが目の前にいるからだ。しかもなんかよく見たら、ベッドに座ってるし。
そんなベッド、私の家になかっただろ。
神崎まつり
神崎まつり
あと言っとくけど、これ夢じゃねえからな?




はあ?聞き捨てならないな。だってまつりは、私の目の前で死んだんだ。車に轢かれそうになった私を助けて。なのに、そのまつりが生きてるなんて......
神崎まつり
神崎まつり
ちなみに、生きてるんじゃなくて、正しくは生き返った。だけどな
宇佐美円香
宇佐美円香
......
神崎まつり
神崎まつり
......
宇佐美円香
宇佐美円香
はあああああ!?!?!?
























☪︎⋆✩.˖⋆°✧.˖⋆°✧.˖⋆°✧*☪︎⋆✩.˖⋆°✧.˖⋆°✧.˖⋆°☪︎⋆✩.˖⋆°✧.˖⋆°✧.˖⋆°✧*
少し編集しました。

すみません。

プリ小説オーディオドラマ