私は今、がむしゃらに走っている。
何度も何度も転んで怪我をしても、すぐ立ち上がってまた走り出す。
泣きそうになりながらも。
もうあんな思い、したくない。
大切な…私の大好きな人を、失いたくない。
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何、これ…こんな事言われた事ないのに、どうして頭の中にこんな記憶(?)があるの…?
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…!
他にも、次々と頭の中に思い浮かぶ、記憶にないはずの事が思い出される。
でもこういう時って、毎回頭痛くなるのに…どうして今回は頭痛くならないんだろう…?
そして、とうとう視界がぼやけて…涙が零れた。
私は思わず足を止めてしまった。
私…そういえば、なんで「もうあんな思い、したくない。」なんて思ったの…?
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その時、私の何かが弾けた。
うりとの思い出が、次々と流れてきて。
今までぼやけてた、記憶にないはずの記憶が。
鮮明に、私の中に流れ込んできた。
そっ…か、私…!
あのデパートの帰りの時…みんなで走って、それから…
猛スピードで突っ込んでくるトラックから、うりを庇って、それで…入院したんだ…!
記憶喪失の時、私…うりに酷い態度とっちゃった…
そう思うと、胸がきゅう、と苦しくなった。
ホント何やってるの、私。
みんなにもきっと、迷惑かけた。
連れ戻して全てが終わったら、謝らなきゃ…!
待っててね、私の…どうしようもなく大好きで、愛おしい、うり。
記憶戻った私が、助けに行くからね…!
私は、一歩を踏み出し、再び走り出したー
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!