あいにく、今日は日直。
朝が早い上に、することもないのでぼーっとするだけ。
会議が始まってしまうからという理由で、日直は学校に来る時間が指定されている。
なにをしようかと天井を仰いでいると、聞いただけで誰だかすぐにわかる、あの声が。
またツッコミどころがある先生の発言だが、無視した
そういうと先生は私の腕を掴んで走り出す。
この時間だから廊下に生徒は1人もいないし、先生だって職員室にいるだけ。
どれだけ猛スピードで走ったって、怒られることはなかった。
だが、私は忘れていた
先生は体育教師志望だったのだ。
肩で息をするほど息が上がって、うまく喋れない。
そう言って先生は、手を伸ばしていた。
私は乱暴に荷物を渡す。
そう言いながらも先生は嫌がらずに持ってくれる。
ありがとうって言わなきゃいけないのに、うまく言葉が出てこない。
言えないのは山田先生だからだろうか…
理由は一体、なんなのだろう、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!