無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第5話

先生の秘密
やっぱりね、まだ他の人の前じゃ声は出ないのだけれど。でも、私には『筆談』っていう方法がある。言葉がある。
「このはちゃん!」
笑顔で話し掛けてくれるクラスメート。
「木城ー、こっち来いー。」
「あー、高柳先生、またこのはちゃんを私から取るんですね!ズルいですよ!」
高柳先生は若いこともあってか生徒に人気で。まぁ、何より…その、、先生、カッコいいから、みんな狙ってるんだよね…。
あ、それで、先生は私に何の用だろう??

「あのさ、木城。」
あれ?
何でだろう。…先生の表情、いつもより暗い。
「木城が俺に対して声が出た時…木城、『ありがとう』って言ったの、…凄く、救われたんだ。」
救われた…??
私に感謝されただけで??
「俺が高校生の時…隣の席の子が、木城と同じ、場面緘黙症だったんだ。」
私と、同じ…。
そうか、だから先生は若いのに私を助ける術を知って…
「凄く優しい子だったんだけどさ…喋れないからって、いじめられてたんだよ。…俺は何も出来なかった。その子は…とうとう自分で命を絶った。」
ズキリ、と胸の奥の奥が痛む。
先生がいなかったら、私も…そうなっちゃってたのかな…って考えると、凄く怖い。
「ずっと後悔したよ。けど、もう俺がどんなに足掻いても彼女は生き返ったりなんかしない。…だから、俺は学校の先生になった。同じような子が、これ以上苦しまないように。」
「…先生。私、先生の生徒で幸せ。」
思ったことを口にすると、先生は泣きそうな顔をめちゃくちゃに笑わせて、私の頭をなでた。
先生。…高柳先生。

私、先生と出会えて良かった。