気づくと、あの、鬼がいた路地に立っていた
血は、まだ残っていた
鬼は、もういなかった
私だったものも、いなかった
何か、転生って言うと、よく最近のラノベである『異世界に転生しちゃった?!』っぽい感じがある
そうか、お葬式か…
確かに、壁には血が残っていた
それが、どうかしたの?
私、全力で蹴ったから、傷ぐらい当然だけど
悪魔は呆れたような顔をして、説明を始めた
稽古の成果がでたってことだ
師匠、ありがとうございます!
そうか、そうなのか…
じゃあ、ラノベもほとんどノンフィクションだね
あ、でも葬式場、遠いんだよな…
私は五十メートル7秒だから、3.5秒になるんだね
走りだすと、風が少し冷たくなっていた
速度のせいもあるだろうけど、夏も終わりに近づいているのかもしれない
元々駿足の私だけど、動体視力には自信があるから、ガンガン飛ばす
途中で悪魔は?と思ったけど、しっかり私の後ろについてきていた
街に着いた
ここからは人が多くなる
悪魔は車も人も、すり抜けて走っていた
気付くと、目の前は交差点
よけて通るのは不可能
だから…
アスファルトの地面を蹴ってジャンプ!
もしかして、透明人間には体重がないんじゃないかと思ってしまうほど、軽く体が浮いた
私、気に入った! 透明人間
死んで良かったと、不謹慎ながらもそう思った













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!