本当は戻るつもりだった。
でも久々にお兄ちゃんに会うとやっぱり楽しくて。
もっと話したかった。
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病気の事を聞いているのだろう。
でも名前は言わない。
そういう所は昔からのお兄ちゃんの小さな気遣いだ。
きっと病名を聞くと私の気持ちが不安になってしまう。
そう考えたのかもしれない。
((パリンッ!
洗剤でコップが滑って
ガラスだったから割れてしまった。
ガラスの破片が飛んでお兄ちゃんの手からは
血が流れていて…
その瞬間
体が熱くなるのを感じた。
自分の怪我ではなんともなかった。
でもお兄ちゃん血を見ると
変な感じがした。
それを一言で表すなら……
“美味しそう”
私の中で何かが壊れた瞬間、
目の前が真っ暗になって、
気がついたら、そこには最悪の光景が広がっていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!