第110話
神宮寺寂雷 2話
なんと言えばいいのか分からなかった。
『そんな事言わないで。もしかしたら生きられるかもしれないでしょ。』
違う…。
そんな希望を与えたって…絶対とは言い切れないけど、いつか絶望する時が来る…。
なおも頭を巡らせる。
『ほらほら、卑屈にならないで。ポジティブにいこうよ!ねっ!』
駄目だ…。
余命数カ月の身になったことがないのに私に何が分かるんだろう。
もうすぐ死ぬなんて…。
私がもしそうなら落ち込んでしまう。
それをこんな年下の子が背負っているなんて…。
そんな風にぐるぐると頭を巡らせていると、自分の無力さが身にしみて分かる。
『どーせ死ぬんだよ、俺』
そう俯瞰しきったような言葉に返すことができない。
心をケアしなければならない立場なのに、何もできない。
人を救おうと志してなった看護師。
はやとくんがガバッと起き上がった。