第8話
山田一郎 8話
男の人はビニール袋からロープを出すと、男の腕を縛り始めた。
なんでロープなんか持ってんだろ…。
ロープを括りながらこっちを振り向く。
器用だな…。
とりあえず声をかけたはいいけど、何も思いつかなくてとりあえずお礼を言った。
ニカッと笑ってストーカーの首の後ろを掴んで道端に持っていく。
ずっとそれを見てると、こっちを向いて駆け寄って来た。
返答しようとして足がズキッと痛む。
見ると、ふくらはぎに擦り傷がついていた。
多分、腰を抜かしたとき。
大変だとばかりに慌て始める。
ビニール袋から絆創膏を取り出して貼ろうとする。
ボソボソなにか言っている。
あのビニール袋、何でも入ってるな…。
そんなことを考えながらボーっとしていると、男の人の手が頬を包み込んだ。
確かに、言われてみれば痛いかもしれない。
そう言うと、頬をぐっと拭われた。