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第113話

神宮寺寂雷 5話
ナースステーションに戻ると、誰も居なかった。
それもそのはず、皆、バイタルチェックや朝食の準備で忙しいのだ。
あなた

…はぁ…

ため息をついて、椅子に腰掛ける。
あなた

どうすれば…よかったんだろ…

そうつぶやいて、どこを見るでもなくぼーっとしていた。
ふと、壁の鏡が目に入る。
あなた

うわ…酷い顔…

泣き跡がついた顔はメイクも落ちていたけれど、何より、
あなた

(こんな顔で…人を救えるはずないよ…)

目は光を映さず、底のほうにに暗さを浮かばせる。
口角も下がり、眉からは力が抜け、まさに絶望、といった表情をしていた。
手洗い場に行き、顔をすすぐ。
もとから化粧が濃い方ではないから少し直せば大丈夫だろう。
鏡を見てニッと笑顔を作る。
あなた

頑張れ馬鹿!

自分を奮い立たせた途端に蘇る先程の言葉。
『…事実だろ』
あなた

……

心では死を受け入れたつもりでも、実際にはどこかで生への執着がある。
自分の行く先を口に出すことで、再認識してしまう。
はやとくんも、どこかで死ぬことを認められずにいたなら。
私が、無理矢理、死と向き合わせてしまったのかもしれない。
事実だろ、なんて、悲しい事。
あなた

(言わせてしまったのは…私…)