第97話
有栖川帝統 2話
積み上げられたゴミ袋の間からにゅっと伸びる足。
その瞬間、いろいろな考えが頭を駆け巡る。
警察に連絡?
もし殺人事件とかだったら事情聴取とかされるかな…。
てかワンチャン生きてる?
それなら救急車?
ごみ捨て場に寝てる人って何。
ホームレス?
もしかしてヤクザ絡み?
変な汗がどっと吹き出て、足が震えだす。
目が潤い、涙が零れそうになる。
その時、
ゴミ袋から見える足が大きく動いた。
捨てられていた(?)人物が起き上がって頭をボリボリかく。
何やらボソボソつぶやいている。
青髪の頭がこちらを向く。
男の人は素早く立ち上がり、こちらに向かってきた。
逃げようとしても足が震えて動けない。
ガシっと肩を掴まれ、覚悟を決めて目を閉じる。
ぼそぼそとお経のように現世へのお礼を告げる。