第140話
感謝祭3:幻太郎
仄暗い店内には、巨漢が一人。
その雰囲気に、生唾を飲み込む。
ホストはずかずかと巨漢に詰め寄り、背中をバンバンと叩いた。
本能でヤバさを感じたのか、帝統が止めに入ろうとした瞬間。
巨漢が振り返り、その顔が光のもとに顕になる。
線が太く、しっかりした顔からは甘い声が聞こえる。
これ以上はホストに主導権を握らせまいと、踏み込んで言った。
店長と思わしき男__女?は、ぷりぷりと奥に歩いていった。
ヒソヒソと話していると、またぷりぷりと戻ってくる。
店長はカウンターの向かいに座りながら言う。
小生も、店長の向かいに座った。
そう言って店長はウインクする。
そう聞かれて、ふと思い出した言葉を口にする。
店長はまたぷりぷりと奥に入っていった。
袖からスマホを取り出して見せると、3人はズコッとコケた。
気がつくと後ろに店長がいた。
そう言って店長は机に箱を並べる。
そう言って深い青色の宝石を指差す。
アイオライトは薄暗い店内で深い光を反射する。
引き込まれそうなその青は、まるで広い宇宙を閉じ込めたようで、
不思議と惹きつけられる気がした。
次に、黄色い宝石を指指す。
そう言って箱をチラチラと動かすと、
黄色に見えたのが、緑に光ったり、赤く光ったりした。
眩いその反射光に、思わず目を細める。
最後もまた、青い宝石だった。
真っ青に、鈍く反射するラピスラズリ。
時たま鋭く光って僕の目を刺す。
不透明さには、ある意味神秘的なものを感じる。
店長はそう言って左胸を指した。