第95話
夢野幻太郎 12話
私は笑って幻太郎さんの提案に了承する。
前と同じように、言葉がスルスルと引き出される。
私達はまた、6時まで話し込んだ。
夕日の差し込む窓際の席。
オレンジ色の光に、幻太郎さんの茅色の髪が照らされる。
そう言って五千円札を渡された。
今度は厚意を微笑んで受け取る。
過去に戻った後の余韻の中、幻太郎さんを見送りテーブルの片付けをする。
幻太郎さんの謎も、私の過去も、すべてを忘れたように私の心は澄んでいた。
こんな心地良い夕日の中で。
まさかあんな事が起きるなんて、誰も考えていなかった…。
一人でクスクス笑い、テーブルを拭く。
携帯には見慣れた番号から着信があった。
to be continued...