第137話
観音坂独歩 6話
自分の分の資料と、観音坂さんのダンボールを抱えて再びエレベーターに乗る。
経理部はだいぶ下の方なのでいずれにしろ通り道になるだろうと思い
20のボタンを押す。
すぐにエレベーターは稼働した。
突然バタンって寝るってどうなんだろう…。
あり得るのかな…?
そんなことを考えていると、エレベーターは止まった。
扉の開いたすぐそこに『営業部 オフィス』と書かれている。
ダンボールをよいしょと抱え直して、オフィスを覗いた。
小さい声で言うけど、誰も振り向かない。
各々が、机の横に高く資料を積み上げてパソコンに向かっている。
一人の社員が立ち上がって、こちらに向かってきた。
急いで声をかけると、社員は少しこちらを向いた。
何も言わないのでニコッと笑いかけると、社員はそのまま歩いていってしまう。