第29話
山田三郎 4話
数冊の本を手にしてコンピュータの場所に戻る。
そこに少年の姿はなかった。
まさか遅すぎて帰っちゃった…?
またもや後ろから声をかけられる。
少年は膝に手をついてハァハァ言っていた。
息を整えながら言われる。
慌てて頭を深く下げる。
ヤバ…呼び止められてたのにわすれてた…。
本を探すので頭いっぱいだった…。
そろそろと顔を上げる。
顔のすぐ前に少年の肩があった。
びっくりしてのけぞる。
ガシッと腰に手を回して支えられる。
反対の手では私が持っていた本を持っていた。
私は顔を真っ赤にして周りをチラと見た。
うぅ…すごく見られてる…。
私の目線を追ったのか、少年も顔を真っ赤にして手を離した。
なんだこれ、めっちゃ恥ずかしい…。