第127話
伊弉冉ーニ三 7話
膝の上の手のひらを見つめる。
今の私の収入はここで働くことしかない。
誰よりも早く着て、フロアの掃除やロッカールームの整理をして、夜が明けたら片付けをして帰る。
そんな日々だったけど。
そう呟くと、涙がこぼれた。
また、あの時のように路地裏で寝る生活には戻りたくない。
その時、扉がノックされる。
そう言って入ってきたのはカイさんだった。
若手ホストで、最近好成績を上げている期待の新人。
私にはいつも良くしてくれている、良き理解者だった。
カイさんは、そう言ってコーラを差し出した。
ふざけてベッと舌を出すと、カイさんは頬を膨らました。
クスクス笑ってコーラを受け取り、一口あおる。
心地よい炭酸が喉を駆け抜けた。