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第40話

碧棺左馬刻 3話
高橋
高橋
はい…
奥から男性が駆け寄ってきて注射器を父に手渡す。
父は私の腹部を捲り、注射器を挿し込んだ。
あなた

あっ…!

中に入った液体がどんどん体内に注入される。
全てを入れ終わり、注射器を引き抜かれた瞬間に体がビクリと痙攣する。
途端に身体の芯から熱くなってその熱が脳まで登った。
揺らいでいた視界が段々と明瞭なものになる。
衣擦れの音すら聞こえるほど五感が澄んでいた。
来い
あなた

……

周りの情報は入ってくるのに頭だけは熱っぽくぼーっとして声を発することもできない。
あなた

(またこれか…)

私はその感覚を知っていた。
高校に入学した辺りから父は私を殴ったあと注射を使う。
多分麻薬…的なものだ。
組長としての父はクスリはご法度、人情味あふれるいい親父だ。
私の親としての父は…。
あなた

(どこで狂ったんだろう…)

高橋さんに腕を引かれるまま、目を閉じて歩く。
あなた

(きっと、私のせいだ…)

恐怖心と自責の念は…いつもセットで私の心を抉った。