第56話
入間銃兎 6話
そのまま少し歩くと、小さなお店の前に着いた。
カランコロンと音を立ててドアを開く。
中はオシャレなバーだった。
ジャズをBGMにマスターがグラスを磨いている。
マスターは恭しく頭を下げた。
そう言いながら腰の高い椅子に座る。
入間に手招きされて私もその隣に座った。
二人の会話をぼーっと見つめる。
しばらく経つと、目の前にオムライスが出された。
そう言ってスプーンを渡される。
私は戸惑って入間を見た。
手を合わせて目を閉じて小さく俯く。
ふわふわの卵を開いてスプーンを入れ、乾ききった口に運ぶ。
空腹は最高の調味料…なのか、本当にオムライスが美味しいのか分からないけど、ひたすらに美味しかった。
次々と卵とご飯を口に運ぶ。
気付くと食べ終わっていた。
元気にそう言うと、マスターが微笑む。
小さくペコリとお辞儀をすると、入間も笑った。
私も笑ってそれに返す。
入間も自分の前のオムライスを食べ始めた。