第22話
山田二郎 10話
ピンクの風呂敷で包まれたお弁当を二郎の目の前に置く。
聞いていたのか聞いていなかったのか。
包みを開けて手を合わせて大きな声で
バッチリスマイルで言う。
ひぇ〜!うまそー!とかほざきながら箸をつかんでおかずを吟味。
……なんか緊張してきた。
気になって日誌も書けない。
一応シャーペンを持ってチラチラ様子をうかがう。
一口食べた二郎がうめきだした。
驚いてガタガタと立ち上がって二郎の方へ。
あたふたと二郎の背中を擦る。
途端、二郎が顔を上げて一言。
……は?
私の怪訝な顔を無視してガツガツと口におかずを放り込む。
あっという間にぺろりと平らげる。
その数分間、私は身じろぎもせずに立っていた。