第54話
碧棺左馬刻 誕生日番外編
左馬刻様お誕生日おめでとうございます。
今回は本編よりしばらく後の話になります。
左馬刻様目線で進みます。
楽しんで行ってください🐎🐎🐎
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ドタドタドタと騒がしい足音が聞こえる。
タバコを灰皿にぐりぐりと押し付けて火を消す。
その瞬間にふすまがダァンと開かれた。
転がり込んできたのはあなただった。
その愛しい顔に、思わず顔が綻ぶ。
そう言いながらあなたは部屋を出て行った。
…は?
火をつけたばっかのタバコも消したのに。
腹立たしく思いつつもどうにも憎めない。
モヤモヤした気持ちを落ち着ける為に目を閉じる。
みんなー!いくよー!という声が聞こえたと同時に、
パァン!!!
銃声かと思ってとっさに身を伏せる。
入口の前にはあなたはじめとする間抜けヅラがクラッカーを手に群がっていた。
そう言ってあなたにたすきをかけられる。
『本日の主役』
…は?
笑顔のあなたを見て、怒鳴ろうとしていた言葉も引っ込んだ。
ニヤニヤを抑えきれずに手で口元を誤魔化しながら言う。
そう言って手渡されたのは濃い青色の包み紙に包まれたプレゼント。
言われるがままに、リボンをするすると解き中身を取り出した。
中に入っていたのは、青いスカジャン。
広げてみると、背中に青いスカルの刺繍が施されている。
嬉しくて口元を押さえる。
ずっと求めていたレア物。
大昔に数量限定で生産された年代物だ。
今の時代、ネットオークションを見ても見つけられなかった。
あなたが不安そうに俺の顔を覗き込む。
感情がこみ上げてきて、スカルのジャケットごとあなたを抱きしめた。
少し驚く舎弟たちに一瞥をくれ、部屋から出て行かせる。
どこで手に入れたかは聞かない。
サプライズで用意してくれたんだから、無礼だと思った。
その代わりにあなたの唇にキスを落とす。
あなたは幸せそうに笑みをこぼした。
もう一度言って、少し強くあなたを抱きしめた。
fin.