4時まで後30分。
ハイヒールを履いて家を出る。
使い慣れないナビを頼りに何とか指定場所に着いた。
『やっと着いた』
鏡を見て髪を整え落ちかけてるグロスを塗り直す。
気持ちを落ち着かせ顔を上げる。
『会社?』
すごく大きくて高い建物が目の前にあった。
住所を入れ間違えたのかと思い何回も入力し検索し直した。
だけどナビが示す場所は変わらない。
『田中さんが間違えたのかな』
田中さんに電話をする。
👨🏻💼「もしもし」
『田中さん私に伝えた住所間違えてません?会社についたんですけど』
👨🏻💼「言い忘れてた!お客様の名前は“ぱく じみん”さんあなたちゃんが行くのはその建物であってるよ。中に入ったらフロントにいる受付の人に社長のぱくさんに呼ばれてきましたって言えば入れるようになってる。」
『え。社長さんなんですか?』
👨🏻💼「そうだ。くれぐれも失礼がないようにしてくれ。じゃあ僕は他に用があるから切るよ」
『田中さん?』
切られてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!