意味わかんねぇ。あいつが高専辞めた?
なんでしかも俺だけ知らなかったんだよ。
硝子達は知ってて、なんで俺は知らないんだ?
怒りと悲しさが同時に来て、爆発しそうだ。
おかしいだろ、と俺は声を荒らげた。
あいつが出ていったのに
冷静な此奴らにどうしようもなく腹が立つ。
いや、違う。俺は何に腹が立ってるんだ?
意味わからん、とにかく腹が立つ。
乱暴に教室のドアを開けて、
自室…………いや、あなたの部屋に行く。
待てという傑の声は無視した。
受け入れられなかった。頭で理解出来ていても
俺は事実に対処することが出来なかった。
我儘だと思う。
うるさいのは嫌と言ってたあいつが思い浮かんで、
静かにノックをする。
…………ドアの向こうから返事はない。
ゆっくりとドアノブを回す。
まさか、な。
まさか、そんなはず_________
部屋の中は空白だった。
本当に何も無かった。もう回収したんだろうか。
もう居ないと言う現実だけが残る。
俺はその場に立ち竦んでいた。
ここまで来ると何だか笑えてくる。
俺は、掴むことの出来ない人間に恋をしていたのだと。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。