硝子ちゃんの奢りで喫茶店に来ている。
硝子ちゃんはアイスコーヒーの氷を
カラカラ混ぜながら私を見た。
硝子ちゃんは私を見て今度は目を丸くする。
こういう時、普段あまり表情のない
硝子ちゃんの表情は面白いくらいに変わる。
女の子ってこういうものなのだろうか。私は知らない。
私は善意で人を助けているわけじゃない。
弟と私で、安定した生活をする為。
そのためには、まず初め多くお金があった方がいいから。
あの日弟にキーホルダーを送った時_____
だから、私はここを退学したら普通に働いて弟を育てる。
家族なんだから、助けないと行けない。
五条君には言わない。
意地悪とかなんでもなく、
私の本能であの人には言わない方がいい気がした。
そんな事五条君に言ったとして、もし悲しまれたら。
______私は、決心を揺るがしてしまいそうだ。
もっとみんなといたい。
もっと成長したいし、
もっと色んな事を知りたい。
そんな余計なことが思い浮かんでしまいそうだ。
そうしたら私はきっと高専の退学をする気が無くなってしまう。
また弟を裏切ることになる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!