第78話

70
15,704
2021/04/30 09:07























家入 硝子
……まだ言ってないのか
氏神 あなた
うん





硝子ちゃんの奢りで喫茶店に来ている。










硝子ちゃんはアイスコーヒーの氷を










カラカラ混ぜながら私を見た。











氏神 あなた
言う気もないし……
家入 硝子
えっ?それは不味くない?








硝子ちゃんは私を見て今度は目を丸くする。










こういう時、普段あまり表情のない










硝子ちゃんの表情は面白いくらいに変わる。










女の子ってこういうものなのだろうか。私は知らない。











家入 硝子
……1年生終わったら、ほんとに退学するんだろ?
氏神 あなた
うん
家入 硝子
……ずっと聞いてないけどさ、なんでそうなったの?
氏神 あなた
私は人を助けるとかそういう善意で術師やっている訳じゃない







私は善意で人を助けているわけじゃない。

















弟と私で、安定した生活をする為。










そのためには、まず初め多くお金があった方がいいから。























あの日弟にキーホルダーを送った時_____
























だから、私はここを退学したら普通に働いて弟を育てる。








家族なんだから、助けないと行けない。














氏神 あなた
自分のため。自分の将来の為。弟と過ごす為
家入 硝子
………あんたも人間らしくなったね
氏神 あなた
元々人間だよ
家入 硝子
そういう意味で言ったんじゃないよ
家入 硝子
まぁ、好きにしな。私は否定しない










五条君には言わない。










意地悪とかなんでもなく、











私の本能であの人には言わない方がいい気がした。












そんな事五条君に言ったとして、もし悲しまれたら。
















______私は、決心を揺るがしてしまいそうだ。



















もっとみんなといたい。



もっと成長したいし、



もっと色んな事を知りたい。















そんな余計なことが思い浮かんでしまいそうだ。











そうしたら私はきっと高専の退学をする気が無くなってしまう。














また弟を裏切ることになる。













プリ小説オーディオドラマ