ガタッ
頭をぶつけた
って…
胸にはグランツェが抱きしめられているまま
きっと泣き疲れていつの間にか眠ってしまったんだ
今のうちに沢山喋って
沢山遊んで
沢山同じ空間で
沢山…過ごしたい
もちろんグランツェ以外の人形とも。
残り少ない時間を
1秒も絶やさず1秒でも長く傍にいようね
そう思うと少し心が軽くなった
その3人は嬉しそうに微笑んでいる
他の人形を持ってきて円になるように置いた
全て起き終わったところでとにかくなんでもいいから話題を作り出す
他愛もない会話
こんな会話でいいの
良いんだ
幸せなの
楽しいこの空間
暫く味わえないなんて
でも永遠にとは言われていないからいつかはまたこうやって一緒に暮らせるのよね…
皆、皆黄色い笑顔で笑ってる
明るい
こんな笑顔に癒される私は本当に
人形が大好き
中には意思を入れられなかった子達も多いけれどその子も友達
大好き
それからもずっと話した
扉のノック?
そんなの知らない
ゲーム?
それも知らない
夜になっても睡眠すらとらない
朝からずっと人形たちに構っていたせいか
お腹が空いている事も。喉が渇いていた事も。
疲れている事も
みんなみんなほったらかしてずっとずっと話した
段々疲れと睡魔に襲われたのか気力もなくなってきた
バタッ
遂に体を起こすことさえできなくなった私は直ぐに落ちた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。