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第75話

どうか
【慎】
「ねえ慎、」
「このバッグどっちがいいと思う?」


甘ったるい香水に嫌気が差す。
気安く呼ばないで、バッグなんかどうでもいい。
でも、


『どれも似合うよ』


この人にとって最善の答えを選んで。
あなたを守るためだと我慢する。


「次このお店見たいから、行こ」


自分勝手で傲慢で、
有名人が友達だとステータスになるからと
あなたの名前を出して脅すような人。


『わかったから離れて』
「えーいいじゃん、手は繋がないであげるから」


これ以上言うなと圧がかかる。
いつまで我慢したらいいんだろう…
“慎くん”と優しく笑うあなたが浮かんで、

ほんとに守れるのかと不安になっていく。

あなたに隠していること、言いたい気持ち。
全部がグチャグチャでよく分からない。


「あ、あの子」


今度は何、と視線を追った先。


『………ッ、あなた』


本屋から出てきたのか袋を提げ、
目が合うと顔を伏せ早足に去っていくあなた。


『待って、!』
「慎!車危ない!」


道路を渡ろうと飛び出そうとすれば、
服を引っ張られ、そいつを睨む。


「今日は私に付き合うんでしょ」
『ふざけんなよ、っ』
「あの子がどうなっても知らないわよ」
『…は、ほんと歪んでる』


もう正解なんて分からない。
けど、間違ってばかりなんだろうな。

今にも泣き出しそうな表情が脳裏に焼き付く。
ごめん、ごめんと何度も謝って。

どうか…待っててほしいとそう願った。