~最長time limit 250日~
ーマサイsideー
続々とメンバーが集まって来て、誰かが歩く度にシルクなんじゃないかと期待してしまう
そんな俺が大嫌いだ
テーブルを6人で囲んで座った
いつもシルクが座っていた俺とダーマの間には誰かの為の隙間があった
その隙間に人の体温は無く、ただただ冷たい風が通った
…夏のはずなのに俺らの空気は重たくて冷たかった
「…始めるか」と俺はこの空気感に耐えられず呟いた
俺の声は重く冷たい空気を切り裂いた
「始めるって言っても…何するの」とモトキがゆっくり話し出した
「シルクの最期の言葉…覚えんだろ」と俺が言うと5人とも黙り込んだ
皆覚えている…いや忘れられ無い
「シルクのPCファイルの上から3つ目見ないと…あいつの頼みだろ」と俺は続けて言った
「そー…だね」とンダホはへにゃっと儚い笑顔で言った
無理に笑わなくて良いのに…俺だって笑えねぇよ
立ち上がってシルクの編集部屋に向かいPCを取る
そのPCは今でもシルクの熱が残っている様だ
沢山の思い出がここにも詰まっている
そんな事を思いながら5人が居る部屋にPCを運びテーブルに置く
「…本当に見るの、?」とぺけは赤く充血した目で俺を見つめて聞いた
沢山泣いて沢山擦ったんだろう
メンバー全員がそうなっているだろう
「あいつの思い…ほっといて良いのか」と俺はぺけに言った
「…良くないけどさ、何でそんなに堂々としてられるの…?」とぺけは再び俺に聞いた
「堂々と?してるわけねぇじゃん…w」と俺は呆れた様に笑った
こんな笑い方しちゃいけないのに…
分かってるのに何かが全部で出来そうだ
「俺だって泣いた、俺が変わりてぇって思った…でも俺はあいつに任された"副リーダー"なんだ」と俺はシルクの真似をしてニカッと笑った
「…怯えてられねぇよ、シルクの思い俺らが紡がないで誰が紡ぐんだよ」とダーマがポツリと呟いた
その言葉を聞いて俺はPCを起動した
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。