~最長timelimit 300日~
ーダーマsideー
救急車が到着して、俺とマサイが付き添いでシルクと一緒に病院に行った
シルクは運ばれている途中で目を閉じた
不安になり何度も何度も、脈を確認したり息を確認したりした
…弱っているが、正常だった
何で…
何でこいつは…
…自分で何でも溜め込むんだよッ
横をふと見ると、マサイは頭を抱えて泣いていた
…普通そうなるだろう
「…マサイのせいじゃねぇよ」と俺はマサイに聞こえるぐらいの声で囁いた
「お、俺が…置いていかなかったら、こいつはッ怪我しなくて済んだんじゃッ」とマサイは泣きながら言った
「俺もッこいつともっと早く進んでればッ!」と俺は気付けば叫んでいた
叫んだり泣いたりしていたら目の前にはもう病院があった
シルクは医師の方に運ばれて、俺とマサイは"治療中"というランプが灯された緊急治療室の前に座った
…ただただ俺とマサイの間には沈黙が流れた
そんな沈黙を突然遮ったのは、モトキだった
「ッ…何があったんだよ」とモトキは息を切らしながら俺とマサイに言った
「…分かってるだろモトキ」と俺はモトキに言った
絶対こいつは分かってる
…分かってる上で理解したくないんだ
俺だって未だに理解したくない
…脳が理解を拒んでる
「…分かんないよッ」とモトキは言った
ただただザカオは俯いていた
「…俺だって理解したくねぇよ」と俺は呟いた
「皆…信じたくねぇよ」とマサイも言った
「…でも現実を理解しなきゃ…マサイとダーマは近くに居たから辛いけど状況は分かる…でも俺とザカオは、状況すら分かんねぇんだよ」とモトキは言った
状況を言った所で…何か変わるのか…?
「…全員揃ってから言う」とマサイは言った
「…頭冷やしてくる、このままだとお前らに何かしそうだ」と言って俺はその場を離れた
1人になった途端どっと寂しさが押し寄せて来た
…俺が代わりになれば良かったんだ
何であの時…俺の足は動かなかったんだ
…もう現実なんて理解したくねぇよ
あいつらが居ないと俺ってこんなに醜くて、醜い世界に独りで居て…
…俺の中から太陽みたいな奴が消えたのかもしれない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!