第18話

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2020/10/27 09:38
あなたside


“お世話になりました。また柱合会議で!”


そう置き手紙を机に置いて冨岡さんの屋敷から出た。

まだ太陽が出ていない朝方で、薄暗かった。

あの鎌に毒が入っていたせいか視界がぐるぐる回って気持ち悪い。

だからといって冨岡さんの所にずっと居させてもらう訳にも行かないので出てきた。

あなた

あぁ、。


視界が回る。

吐きそうになって咄嗟に口を抑えた。

不死川実弥
不死川実弥
おいおィ。ひでェ傷だなァ。


そんな時、前から不死川さんが近付いてくる。

ふぅ、と呼吸を整えて話そうとすると

不死川実弥
不死川実弥
あなた、今まで外にいたのかァ?


と言われた。

あなた

冨岡さんの御屋敷に1泊泊めてもらって、。


と説明すると、不死川さんは不服そうだった。なぜか。

不死川実弥
不死川実弥
おい。蝶屋敷行くぞォ。

“嫌です、。”

そう断ろうとしたら視界が揺れた。

これは、まず、い。
あなた

グッ、


地面に頭を打つギリギリで不死川さんが支えてくれる。

不死川実弥
不死川実弥
おいおい、お前もろ毒食らってんじゃねーかァ。

不死川さんはそう言って私を背中に抱え、歩き出した。

あなた

すいま、せん。


自分の不甲斐なさがつくづく嫌になる。

不死川実弥
不死川実弥
胡蝶のとこ着くまで大人しくしとけェ。

まるで妹をあやす様に言われて、ムッとした。
あなた

私、18ですからね?


そう言い返すと
不死川実弥
不死川実弥
餓鬼だなんて思ってねーよォ。

と言われる。

不死川さんは取っ付き難いが、根はいい人だと知っている。

あなた

元気になったら甘味処行きましょうね。


不死川さんの暖かい背中にもたれてそう言うと、

不死川実弥
不死川実弥
いくらでもみたらし団子奢ってやらァ。




















私は毒で侵された体を不死川さんに預け、浅い眠りについた。















































次に目覚めた時は知らないところにいた。

目を動かせば、隣で手を握りながら寝ている不死川さんが居て。

ずっと隣にいてくれたのかな、と思うと申し訳なくなった。
あなた

不死川さん、。ありがとうございます。


手を握り返すとその振動で起きたのか、不死川さんは目を擦りながら私と目を合わせた。

不死川実弥
不死川実弥
起きたのかァ。ちゃんと胡蝶に見てもらえよォ。

頭を撫でて出ていこうとする不死川さんの隊服を咄嗟に掴む。

あなた

ごめんなさっ、


自分のやったことに気づき、すぐ手を離そうとすると不死川さんは
また私の隣に戻ってきて、
不死川実弥
不死川実弥
満足するまでいてやらァ。

と言ってくれた。

顔が傷だらけで私の事心配してる場合じゃないだろ、と思い、顔を見つめてると
不死川実弥
不死川実弥
なんかついてるかァ?

と目を真っ直ぐ見て言われる。

それがあまりに急で。

顔の辺りがぶわぁっと熱くなるのを感じる。

あなた

な、なんでもないです、なんでもないですッ!!


手を振り、自分の顔を隠そうとするけどそれすらも手を握り止められてしまって。

不死川実弥
不死川実弥
あなた。

名前を呼ばれる。

あなた

は、はいっ、?

不死川実弥
不死川実弥
あんま期待させんじゃねーぞォ。

不死川さんはそう言ってまた私の頭を撫でた。


期待って、何に、?

































日が落ちるまで不死川さんと沢山の話をした。



不死川実弥
不死川実弥
もうそろそろ敬語辞めろやァ。

そう言われたので敬語は辞め、名前で呼ぶことに。

あなた

ね、実弥。ありがと。


実弥はなんの事かって顔してたけど。

































































不死川実弥
不死川実弥
早く元気になれよ。あなた。

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