あなたside
私は数日もすれば全快した。
ご飯も、もりもり食べているから心配されているくらいで。
私が不安に思っていることといえば、右肩の痣が疼いていること。
と、実弥が異様に優しくしてくれること。
思い出した。
私は実弥に言いたいことがあった。
3週間もぬくぬくと眠っていたなんて未だに信じられないけど。
ドタドタドタッ
タイミング、良く。
いや、悪く柱の皆が入ってくる。
何故か気まずくなって慌てて距離を取る実弥。
耳まで赤くなってるよ。なんてからかってやりたいけど。
黙っておこう。
嬉しくて。感極まって。
また涙が出てきそうになるけど、気になったことがあった。
誰も、黙って何も言わない。
しかし、悲鳴嶼さんの背中からひょこっと現れたしのぶは泣きそうな顔をしてた。
ギュッ
身体に伝わる暖かい感覚。
上擦るしのぶの声で泣いていると分かった。
嬉しかった。
素直に、心配したと言ってくれたことが。
全快してから数日後。
私は御館様と皆に話したいことがあって、。
相変わらず優しい御館様の声。
深深と頭を下げ、本題に入る。
私は御館様から鬼殺隊を辞めるよう、諭された。
申し訳ありません、御館様。
それだけは、聞き入れることが出来ない、。
柱にも、御館様にも鬼の如く猛反対を受けた。
しかし、そんなことで折れる私ではない。
御館様は目を見開き、やがてこう言った。
優しさの中にある、厳格さ。
私は御館様が大好きだ。
やがて御館様はうんうんと頷き、私の柱継続を認めてくださった。
柱合会議の後、私の肩を叩いた人がいた。
実弥だった。
実弥は私の肩を持って自分の方を向かせ、
そう言って抱き締めた。
本当の温かさだった。
この人の事が好きだと、そう思った。
屋敷まで送ると言った実弥は私の左側を常に歩く。
無くなった腕を気にしてくれてるのかな、と思ったらなんだか切なくて。
右腕を揺らし、こっちに来るように言う。
不思議がる実弥の耳元により、私は
実弥が右側に来た途端、手をぎゅっと握る。
実弥は驚いたようにこちらを見たけど、やがてふわっと笑った。
私は、これが欲しかったのだと気付いた。
幼い頃に家族を失った私は、暖かいものに執着していた。
小さい頃に感じ取ることが出来なかった暖かさをずっと取り戻したいと思っていた。
そして、素直に泣ける場所が。
素直に泣ける人が欲しかった。
ありがとう、実弥。
あなたのおかげで私、やっと、
本物の暖かさを手に入れた____________
(〜完〜) 不死川実弥end,
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無柱 ご愛読ありがとうございました!!
実弥endで 完 となります!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!