しのぶside
あなたちゃんが眠りについてからもう二日が経とうとしていた。
よほど疲れていたのだろうか。
炭治郎と言う少年と禰豆子と言う鬼の少女はあなたちゃんのベットの隣にずっといた。
寝る間を惜しむくらいずっと。
なんだかんだ言ってあなたちゃんが心配なのか冨岡さんまで
ずっと蝶屋敷に泊まっていた。
あなたちゃんのベットの縁に私と炭治郎くんと禰豆子ちゃんで居たのだが、
少し用事が出来たので席を離れた。
冨岡さんは別の部屋で何かしているようだが、
教えてくれないのはいつもどうり。
衝撃を受けたのはその後のことだった。
炭治郎くん達が待つ部屋に入ろうとした時、中から声が聞こえた。
聞いたことも無い優しい声が聞こえる。
ドアの隙間から覗くと、話しているのはあなたちゃんの様。
驚いた。
まともに話しているところを見たことがない上に
あんなに優しい顔で笑っているなんて想像がつかなかった。
森の中で炭治郎くんに話しかけられたとき答えなかったのは
私たちが居たからかもしれないと思った。
炭治郎くんと禰豆子ちゃんを抱きしめたあなたちゃんは
今まで見てきた誰よりも綺麗だと思った。
穏やかな表情を浮かべているあなたちゃんから、
普段の無口さは全く感じられない。
ひと通り抱きしめ終わったあなたちゃんは
自分の傷を心配させないためなのかヘラヘラと笑った。
何が大丈夫なんですか。
あんな酷い傷いっぱい背負っているのに。
古傷だって沢山あった癖に。
私がその場に入っていくと顔が引き締まった。
年下には優しいスタンスか、?
ちゃっかりあなたさん呼びしてる炭治郎くんは
あなたちゃんが 柱 だってこと気がついてるのだろうか。
炭治郎くんも禰豆子ちゃんもこっちを見てポカーンとする。
口を開けて。
相変わらずあなたちゃんは何も言わない。
肯定も否定もない。
やっぱりこの子達気付いてなかったんだ。笑
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!