しのぶside
その少年が言いかけた時、咄嗟に止めたのは冨岡さんだった。
珍しく、冨岡さんがめちゃめちゃ喋った。
引き下がろうとしない少年を見つめる冨岡さんの目は冷たかった。
まさかここでこんな3歳児みたいなことを言われるとは思ってなかった。
しかも冨岡さんから。、
なんだコイツ。頑固ジジイだ。
流石ぼっち柱、。
結局、冨岡さんとあなたちゃんを引きずり回して蝶屋敷まで連れてきた。
怪我の多い少年は直ぐに治療へ。
鬼の少女も同様に処置した。
しかしなんと言っても気になるのが
何故あなたちゃんまで蝶屋敷に来なければならなかったのか。という事。
あの少年が言いかけていた言葉を最後まで聞く必要があった。
でなければどんな治療を行って良いか分からない。
無理やり連れてこられてちょっと不機嫌な冨岡さんが答える。
あなたちゃんは疲れていたのかベットで眠っていた。
お前が知らないわけないだろ、!?
イラッとしたのも束の間。
簡単な治療を済ませた炭治郎と言う少年が帰ってきたのだ。
あなたちゃんを見やるなり声を出して反応した少年。
ここは単刀直入に聞くしかない。
それ以外に知る術は持ってないから。
少年は冨岡さんの方を見て、頷き、話し出した。
なるほど。この少年は鼻が利くのか。
しかし、あなたちゃんが絶望しているようには見えない。
確かにあまり話さない子ではあるけど。
そこまで言ってハッとした。
あなたちゃんを起こさないようにして背中を見る。
酷い傷だった。
今回の傷も含めて。沢山の。
悔しそうに床を見つめる少年からはあなたちゃんに対する尊敬と自責の念が感じ取れた。
早く治療をしてあげよう。
そしてちゃんと話を聞こう。
それ以前にどうやって仲良くなろう、?
無の呼吸を使って鬼を倒すあなたちゃんは美しかった。
久々に胸が高まった。
この子と、仲良くなりたいと強く思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!