しのぶside
あなたちゃんを追いかけて入ったのは重苦しい空気に包まれた森。
嫌な感じがする。気持ち悪い。
あなたちゃんを見つけたのは森に入ってから数分後の事だった。
あなたちゃんは頭に傷のある少年と籠の中の おそらく 鬼 を
背後に置き、鬼から庇っていた。
あなたさんはちらっとこちらを見て、また目線を外した。
そして、。
あなたちゃんは全集中の呼吸の構えを取った。
自然と息を飲んだ。
背筋がゾクゾクする。楽しみで仕方ない。
そう思っていると辺りが真っ暗になった。
その中でぼやっと光っているのは あなたちゃんが作り出したであろう闇の空間。
あなたちゃんがもう一度型を出した頃には
鬼は消滅していた。あなたちゃんが、。斬った。
私たちが来る必要は無かったみたいだ。
そう思って冨岡さんを見ると
ぐっと目に力が入っていた。
こんなに強い人。久々に見た。
遥かに私を超える 鬼殺隊。
あなたちゃんに庇われていた少年が礼を言う。
それに対してもあなたちゃんは答えなかった。
ただ目を動かすだけ。
にしても。
この少年が連れている 少女は、。
そう思った時冨岡さんがそう言った。
確かにどちらも大怪我を負っている。
治療する必要があるだろう。
私がその少年少女を連れていこうとした時。
あなたちゃんを指さして言ったのだ。
当の本人は何も言わない。
目すら合わない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。