あなたside
夢、じゃない。
炭治郎の腕をぎゅっと握りしめた。
感触もある。匂いも、人。
傍でそれを見つめる禰豆子ちゃん。
可愛い。ちょこんって感じが愛しい。
わしゃわしゃ頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めた。
それと同時に匂いがした。
鬼。
と、殺気を出した人間。
「お前のせいで、夢を見せてくれなくなるだろ!」
そうか、君も何か辛い過去があるんだな。
戻りたいほど、そう、切望するほどの。
私も、出来ることなら一生、あそこに居たかった。
いや、いるはずだったのだ。
この人の匂いは、悲しい。
胸が痛くなるほど、辛い。
私はそう言い残し、その場を動いた。
私に罵声を浴びせた、その人は夢の中に居た人と同一人物だろう。
だけど、
抵抗もない、止めようともしない。
ただ泣くばかりだった。
電車の屋根に上がるとそこにはキモイ鬼がいた。
手から目玉なんか生やしてやがる。きめぇ。
ガコンッ
膝から下に崩れ落ちる。
あの目玉、見たら、!!!
「ねぇね、まだ生きてたの。」
「さっさと死ねよ。」
「出来損ないの娘ね。」
「お前だけのうのうと生きやがって。」
次に目が覚めた時にはまた夢の中にいた。
でも、さっきとは打って変わって 本当の悪夢だな。ここは。
「ごめんな、あなた、。」
後ろから聞こえた声にはっとする。
そこには、現実で私を罵倒した兄が居た。
私は至って冷静。
な、つもりだった。
「ごめん、な、」
兄は私に謝罪し、泣いた。
涙を流したのだ。よりによって、私ごときで。
兄が大嫌いな私で。
一般的に夢の中の登場人物は自我を出すことは不可能である。
しかし、あなたの兄は夢の中で自我を持っていた。
その上で、あなたに謝罪したのだ。
「あなたのせいにしてごめんな、ごめん、。」
私の前で泣き崩れる兄。
見ていられない。視界がぼやける。
いつまでもここには居られない。
あの目玉野郎を斬らないといけないから。
私はそう言い残し、自らの手でまた自らの首を斬った。
兄は、笑った。ような気がした。
微笑むような優しい顔だった。
夢の中で自我を保った兄はどんな気持ちだっただろうか。
私を罵倒した兄以外の家族は、目玉野郎の支配であんなこと言わされたのだろうか。
夢から目覚めるのと同時に鬼の首を斬る。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
作者です!!
♡で出す制度辞めようかな、って思ってます、
なんか稼いでるみたいに思われたら嫌だなぁ、って。
純粋にこの小説を楽しんでいただきたいだけなので、
私の勝手都合で小説をバンバン更新させて頂きます!!
通知荒れたらすいませんッ!!笑
それだけの報告でした!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。