竈門炭治郎side
あの上弦とやり合ってる、あなたさんが。
だけど、だけどッッ、
疲労した身体を刀で無理やり起こす。
今、あなたさんを助けないと、!
だって、あなたさんは俺を助けてくれたのに!!
.
再び顔を上げた時、絶望した。
鬼の腕が、あなたさんの脇腹に刺さっていた。
そんな、嘘だ、嘘だ嘘だ、!!
脚を運べ、! じゃないと、あなたさんが!!
あなたさんの怒号に脚が竦む。
ドンッ
隣から物凄い音がした。
横を見た時にはもう 煉獄さんは居なかった。
煉獄さんが鬼の腕を斬り、あなたさんは地面に放り出された。
地面に血が滴る。
そんな、あなたさん!!
あなたさんは傾いた電車に打ち付けられ、肩で息をしていた。
無理もない。
あなたさんは脇腹に鬼の腕が刺さっていたし、
無の呼吸の使い手だったはずなのに、
無水の呼吸 と言うものを使った。
でも、水の呼吸ではない。
そもそも、壱ノ型は水面斬りだけど、あなたさんは水月鏡花と言う型を使った。
聞いたことも、無い。
はっと顔を上げるとあなたさん、煉獄さんと戦っていたはずの上弦の鬼が
すぐこちらまで近付いていたのだ。
まず、い。
これじゃ、やられる、!
無の呼吸 肆ノ型 虚言
それは相手に触れることなく、斬撃を繰り出せる型。
張り詰めた空気に攻撃を乗せ、斬る。
鬼は俺から素早く手と、身を引く。
奥にあった木々が、最初から無かったかのようにぽっかり道が開いていた。
あんなので斬られたら、ひとたまりもないぞ、!
「ッチ、」
夜明け、だ。
鬼が森の中へと消えていく。
逃がさない、逃がさない!!
あなたさんにあんな傷を負わせておいて!!
俺は精一杯の力で鬼目掛けて剣を投げた。
それは見事に背中に命中。
お前が、負けたんだ、!! お前が!!
地面を這って俺に近づいてくるあなたさん。
あなたさんは煉獄さんに支えられ、立ち上がった。
あなたさんは大丈夫だと笑った。
直ぐに蝶屋敷へ向かうと煉獄さんに告げられる。
あぁ、俺がもっと強ければ、。
あなたさんを守ることが出来たのに、。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!