第4話

CHAPTER4
42
2019/05/12 06:19
教室に戻ると、クラスの人達の目線が一気に
二人に向いた。
次、なんの授業だっけ?
百瀬
この状況でよく普通でいられるね……
光の精神力には本当驚かせられるよ
光は周りの子達を気にもせず、次の授業の準備を
し始めた
女子
……百瀬ちゃん、真野さんと
話したいんだけど……無理そうだよね
百瀬
あはは、ちょっと今は
やめといた方がいいと……。
光は誰かに注目されることが大の苦手であり
嫌い、なのだ。
だからあまり友達も作ろうとしない。
いや、作りたくても作れないのだ。
女子
ーいつになったら仲良くなれるかな
私、真野さんと仲良くなりたいのに
女子
私も、仲良くなりたいな!
真野さんすごく可愛いし話したいけど
もう入学してからそろそろ1ヶ月
……どうにかできない?百瀬ぇ
百瀬
そう言われてもな……。
光は人が苦手だらねぇ……。
うーん、と考え込む百瀬と女の子たち。
そこにまた、クラスの男子が集まってきた。

百瀬の席は人が沢山群がっている
男子
なぁ、俺達も真野と
仲良くなりてぇんだ。
何とかしてくれねぇか、石田ー
百瀬
あんた達男子は、ただ光を
狙ってるだけでしょうが。
男子
んなわけねぇだろ!
まぁ、そういう考えのやつも
いるとは思うけどな。
百瀬たちが話している中、光は自分の席に座って
空を眺めている。
ー光の席は窓際のため、見通しが良い。
(……ん、いい天気……。
ももちゃん、結構話し込んでるなぁ)
……私は、誰かと仲良くしたいとかあまり思わない。
きっと、私の「やること」を知ればみんな
気持ち悪がって私の周りから消えていく。

私が好きな人を追いかけ盗撮のようなことを
している、ということを知れば。
だから、私のやることを理解して離れないでくれる
ももちゃんさえいてくれれば別に友達もいらない。

それで“また”誰かが離れていくのなら……。
1人だって、構わない。
(ー誰かが冷たい目で離れていく
瞬間を、私はもう見たくない。)
百瀬
……る……かる、光!!!
……あっ、ももちゃん
百瀬
どうしたの?
そんな遠く見つめて。
教科書を持った百瀬が笑いかけてくれる。
ううん、ちょっと考え事だよ。
ー次数学?……嫌だなぁー。
百瀬
光、やっぱりまだ皆と仲良くは……
仲良くしたくない。
光はキッパリと言った。
百瀬
やっぱり……過去の事が突っかかる?
うん……もうあんな思いしたくない。
百瀬
そう……だよね、ごめんね辛いこと
思い出させちゃった。
あ、そろそろ授業始まるから席戻るね
百瀬は手を降って少し離れた席に向かっていった
光は、1人になるとクリアファイルを漁りだした
そして取り出したのは一枚の写真。
ーいや、プリントアウトした写真だ。
これ見るだけで元気湧くなぁっ
そこに映るのは、やはり『彼』だ。
さぁ、最後の六限頑張って、早く部活に行こう。
ー命のカメラを返してもらわなくちゃ

プリ小説オーディオドラマ