幸せ者だな、いつも思う。
毎日帰れば彼女がいて、
「おかえりなさい」
その一言だけで嫌な事は全て忘れられる。
一生守ると誓ったのは
それだけ彼女の事を愛しているから。
何があっても乗り越えて行けると思ったから。
そう、何があっても..
~午後7:30~
プルルルル...プルルルル..
彼女はかなり動揺しているようで、
それに泣いていた。
何かおかしいと思い、
家に向かって全速力で走った。
~自宅~
目に飛び込んで来た映像は
とても残酷なものだった。
母さんがカーペットの上に倒れていた。
しかも..血だらけで...
腹部を何かで刺されていた
彼女の手には..血だらけの包丁。
そんなわけない、そう思い込みたい。
そんな事があるのか。
記憶にないだけで、人を殺めてしまう事が、
そんな事が本当にあるのなら、
この世の中は犯罪まみれだろう。きっと。
それに、彼女には母さんを殺す動機が存在しない。
仲良くしてたみたいだし..
夢遊病と言う病気は聞いた事がある。
でも、彼女が寝ていたのかも分からない。
ふと、ひとつの言葉を思い出した。
「二重人格」
彼女の中にいる別の人格が母さんを..
今は、この状況をどうするかを
考えないと。。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!