なんで、僕が…なんで。
無理みたいだ。体は動かない。動こうとしない。
僕は、なんでこんな風に言われるんだ。
君の変わりように驚いたよ。どうしたんだ。
僕の知ってる君じゃない。
後でってどういう意味なんだろう。
まさか…
そう思った瞬間、車はスピードを出して走り出す。
強い衝撃が加わった。
恐る恐る目を開けると、血を流しているあなたが居た。
君は僕の前から、消えた。
でも、今は目の前にいるあなたが大切だ。
救急車呼ばなきゃ。
今更。今更気付いたんだ。君が、あなたがどれほど大事な人か。
目の前にして、やっとだよ。僕はなんてダメな奴なんだ。
君に抱きついて、光と音を待った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!