見慣れた建物。少し重いドアを開ける。
私をみる人の冷たい目、態度、何から何まで酷い。それで今までどれほど苦しかった事か。。
会談室に入り、椅子に座る。
目の前には分厚いガラスがあり、貴方に触れることは出来ないようになっている。
でも、顔を見ることが出来ると考えると少し胸が弾んだ。
5分後…
キィー((ドアが開く
私は貴方を見た時に思った。
また痩せたなって。見る度に細くなって顔色もあまり良くないように見えてしまった。
貴方は優しすぎる。ちょっと怖いほどに。
分かる。私は貴方が無理矢理笑っているのだって。本当は辛いのだって。
それから30分ほど、楽しく会話をしていた。
全てのことを忘れられて。頭の中を貴方で埋めることが出来る。私の唯一の幸せ。
その言葉を残し、貴方は出ていった。
その言葉を毎回言ってくれる。私にとっての魔法の言葉。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!