第2話

❀1 はじまり
505
2019/03/26 12:03
今日も暇やなぁ…







あ、どうも永瀬廉です。

僕は今、最近オープンした花屋で働いています。

今日も暇というのは、
最近出来たばっかりで花はあまり売れないんだ。ここは人が多いところだから人が少ないからとかそういう訳では無い。
ただ、店に立ち寄った人も花は買わない。
最近の人は花は買わないんかな?
そう思いながら、店長と一緒にフラワーアレンジメントをしていた。
永瀬廉
永瀬廉
今日も誰も来ないっすね…
瀧 玲司
まぁそうだろうね。最近出来たばっかりだから。
僕らは待つしかないよ。

それより、永瀬くんアレンジメント上手くなったね
永瀬廉
永瀬廉
本当っすか?
ありがとうございます!
瀧 玲司
うん。いい感じ!
後でお店に並べとくよ。

まぁこうやってる間も店に客は寄ってこないわけで。
こんなんだから、最近する事も無くなってきているlll_ _ )









そうこうしているうちに、閉店の時間となった。
瀧 玲司
あれ?永瀬くん出ないの?
永瀬廉
永瀬廉
はい。
今日は僕が閉めるんで。
先上がってください。
瀧 玲司
そっか、ありがとね。
じゃあお疲れ様
永瀬廉
永瀬廉
お疲れ様でした
店長が帰った後、店の中を見渡した。

こんなに手入れが行き届いているのに

客が来ないのは何でなんやろ……
俺も結構頑張ってるのにな^^;

自問自答していると、扉をトントンと叩く音がした。

あなた
あなた
あの…もしかして
もう閉店しました?
永瀬廉
永瀬廉
あ、いやまだ大丈夫ですけど…
あなた
あなた
良かったぁ…
外から見て可愛い感じの店だなぁと思って。

少し見ていってもいいですか?
永瀬廉
永瀬廉
どうぞ…
あなた
あなた
ありがとうございます

そう言うと彼女は店内を見始めた。

久しぶりの客……だけど、この子も絶対買わないやろうなぁ。

そう思いながら、彼女を目で追っていると急に彼女が口を開いた。
あなた
あなた
このアレンジメント可愛いですね♡
永瀬廉
永瀬廉
それ、僕が作ったんです。
あなた
あなた
え?!本当?
凄い✨
永瀬廉
永瀬廉
まだまだですよ。
あなた
あなた
でも凄いよこれ!
そう言って彼女はアレンジメントを手に取ると
こっちを向いて言った。
あなた
あなた
私、これ買うね!
そう言って笑った。

その瞬間、心の中で何かが壊れて落ちた。

心臓がドクドクと音を立てる。
永瀬廉
永瀬廉
あ、ありがとうございます…
それを言うのが精一杯だった。










お会計していると、彼女が僕を見て言った。

あなた
あなた
こんなにいい花屋なんだから、もっと工夫したらお客さんいっぱい来ると思うのになぁ…
永瀬廉
永瀬廉
僕がやれる事は結構やりましたけど……
あなた
あなた
そうなの?じゃあなんで来ないんだろう?
私が学校ですすめとこうか?
永瀬廉
永瀬廉
学校?
あなた
あなた
あ、私ね高校生なの。
子供っぽいから中学生とよく間違えられるんだけどね

この前は小学六年生に間違えられたんだよ。
酷いよね!

そう言って苦笑する彼女にやっぱり見とれていた。
あなた
あなた
貴方は社会人?
永瀬廉
永瀬廉
いや、僕も学生です。
あなた
あなた
高校生?
永瀬廉
永瀬廉
高校生です。

そう言うと彼女は目を丸くした。
あなた
あなた
ほんと?!
じゃあ同じ学校かも!
なんて言う学校に行ってるの?
永瀬廉
永瀬廉
地元じゃなくて、ちょっと遠い私立。
瀬田せた高校ってとこ。
あなた
あなた
私立かぁ…私は公立。
榴ヶ岡つつじがおか高校

そう話している間に包み終わり、代金を受け取った。
永瀬廉
永瀬廉
じゃあ。
そう言って見送ろうとすると、彼女は立ち止まって俺の顔を覗き込んだ。
あなた
あなた
あのさ…嫌じゃなかったら一緒に帰ってくれないかな?
私、もうちょっと君と話したい。


ダメかな?
永瀬廉
永瀬廉
……ダメなわけない。


✄------キリトリ------✄

店を出ると、彼女がこっちを向いて笑った。

カップルみたいだと思って急に恥ずかしくなった。
あなた
あなた
私、眞都羽あなたって言うんだけど
名前聞いてもいい?
永瀬廉
永瀬廉
永瀬廉
あなた
あなた
廉くんね。覚えた!
あ、廉くんも私の事覚えといてよ〜!
永瀬廉
永瀬廉
眞都羽あなたさんね。
あなた
あなた
あなたでいいよ。
眞都羽とか言いにくいでしょ?

そう言うと彼女、眞都羽あなたは歩き出した。

特に話すことも無く交差点に来た。
永瀬廉
永瀬廉
俺こっち➡
あなた
あなた
⬅私あっちだ

どうやらここでお別れのようだ。
永瀬廉
永瀬廉
じゃあ、またな
あなた
あなた
うん。

そう言って、彼女と別れた。

交差点を渡った後遠くから声がした。
あなた
あなた
廉くん!

紛れもなくあなたの声
あなた
あなた
また行くね!
そう言って笑って駆けて行った。

俺はというと、嬉しすぎてしばらくその場から動けなかった。

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