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第1話

ティータイム
3,052
2020/08/19 15:36
放課後  授業終わり _______

グリムが先生に呼び出しをくらっているせいで、
予定だった寮の掃除が出来なくなっている。
私は今、食堂に1人お茶をしている。

(このあと寮の掃除をしなきゃだし… 意地でも連れて行く!待つ!!)

と思いながら、パクリとケーキを頬張った。
やっぱり、いつ食べてもほっぺが落ちそうだ。

「おっ、あなたじゃないッスか!
ムカムカしながら幸せそうな顔してる、変な人ですこと。シシシッ」

聞き覚えのある声が近づいてきた。
ラギー先輩……私の彼氏だ。

「変な人ほわ失礼!私は今忙しいひぃの…モグモグ」
ケーキをめいっぱい頬張ったから、うまく喋れ
ない。

ラギー先輩は私の食べる姿を見て、なんだかニヤニヤしている。
「こんなとこで何してるんスか?」

「ゴクン……グリム待ってるんです」
「今日は寮掃除の約束なのに、先生に呼び出されたらしくて、待ってようと。」

へー、とラギー先輩。
じっと私のケーキを見つめている。
「あなたが食べてるケーキくれるんなら、俺も掃除手伝いますよ?」

うーん…確かに、グリム待つよりかは効率良いのかもしれない。
(でもケーキもっと食べたいし…うーーん…)

「あの狸くんなら、廊下でこっぴどく叱られてたッスよ。日が暮れるまで居残りさせられそうなレベル。」
「俺呼んだ方が効率いいッスよ?シシシッ」

たしかに、夕方から掃除始めるよりも、
今から手伝ってもらった方が早く終わるに決まっている。
私は黙って、渋々とケーキを渡すと、
ラギー先輩はキラキラとした目でケーキを眺め、食べ始めた。

「交渉成立ッスね!すぐ食べるんで待っててくださいッス」

私は飲みかけの紅茶をゆっくりと飲みながら
先輩の様子を見ていた。
なんだか、沢山食べている先輩が愛おしくて……っいや、、何考えてるんだろう。
ぼーっと考えてるうちに、先輩は完食したようだ。

「ごちそうさまでした!美味しかったッス!この分ちゃっちゃと片付けちゃいましょう」

お皿を返却口に出し、私たちは寮へと向かった。

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